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ここでは原作(漫画版「風の谷のナウシカ」)を読んでいない方のために原作の簡単なあらすじを紹介しておきます。
火の七日間と呼ばれる大戦争で世界が崩壊してから千年。世界は猛毒の瘴気を発し獰猛で巨大な昆虫様の「蟲」に守られた「腐海」と呼ばれる森林に包まれかけており、人間の暮らせる土地は局限されていた。
主人公は腐海の畔にある小国「風の谷」族長の娘「ナウシカ」。母は既に亡く、父も病で床から出られない状態である。風の谷は2つの列強国であるトルメキア/土鬼(ドルク)が対立するこの世界でトルメキアの辺境にあたり、戦時には族長自ら失われた技術で作られた航空機「ガンシップ」の戦士としてトルメキアに従軍するという盟約で自治権を保っている。ナウシカは16歳の少女でありながらこのような状況で族長の代理として一族の未来を背負った重要な存在である。
そのような中で、ある日工房都市「ペジテ市」の避難船(この世界では船=航空機である)が風の谷の近くに墜落する。船に乗っていた王女ラステルは最後を看取ったナウシカにある石を託す。その石は火の七日間で世界を滅ぼした生物兵器「巨神兵」のキーであった。
程なくしてペジテを滅ぼしたトルメキアの皇女クシャナは石を求めて風の谷に襲来する。ナウシカは師である「ユパ」の力を借りて何とかこの窮地を乗り切るが、やがてトルメキアと土鬼の間に戦争が勃発し、ナウシカは父の代理として戦列に参加することになる。戦いの中、クシャナ軍を襲撃したものの撃墜されたラステルの兄「アスベル」を助けるために腐海深部へと降りたナウシカはそこで腐海が実は汚染された世界を浄化しているのだと言うことを知る。
一方、土鬼は苦しい戦線を挽回すべく、腐海植物を使ってトルメキア軍を撃退しようと画策する。その作戦は概ね順調に進みトルメキア軍は敗走を始めたのだが、ある時、兵器として作り出した腐海植物が暴走。それを止めて森(普通の腐海植物の森林)と一体化させるために蟲達は大海嘯と呼ばれる大行進で土鬼の地を埋め尽くし、土鬼の地は大半が腐海に没することになる。そして、紆余曲折を経てナウシカは大海嘯を引き起こす契機となった生物を弄ぶ技術が「シュワの墓所」と呼ばれる所から来ていることを知り、土鬼軍がペジテから強奪し復活させた巨神兵を従えて墓所を封印する最後の旅に出る。
墓所の正体は旧文明が残した遺跡で、墓所はそれ自体が生物であり、腐海によって浄化された後の世界に、争いを起こさないよう調整された人間や火の七日間以前の各種動植物を再生することを目的としていた。そして、現存する生物は汚染環境に適応した結果、浄化された環境では生きられないことを知る。墓所の主(墓所にある意識体)はナウシカにこの世界の王として墓所に協力するよう要請するが、ナウシカはそれを拒否。生物の未来をコントロールしようとする墓所を巨神兵の力を借りて破壊する。
大体こんな所ですが、A4版の単行本で7冊にもなる分量ですし、色々なメッセージのこめられた作品ですので、これだけではごく簡単にストーリーを追っただけに過ぎません。
入手はちょっと困難ですが、オンラインブックストアなら新品も入手できますので、やはり一度原作を読まれることをお勧めします。
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原作版風の谷のナウシカの世界。
ただし、原作では地球上の極限られた部分(以降原作世界)しか登場していないが、今回は地球全体が舞台となる。
以下、原作に登場しない主な舞台の設定。
- 中央アジア
原作世界は中央アジアに存在する。
- 膿の盆地
シュワの南にある火山地帯。
火山活動の影響で濃硫酸と化した地下水が至るところで池を作っており、火山性のガスも充満しているため特殊なバクテリア以外の生物は一切(腐海植物も含む)存在していない。
- コンロ山脈
膿の盆地より更に南に存在する8千メートル級の山脈。
山脈は西側で北に分岐しておりその部分はナム山脈と呼ばれる場合もある。
なお、山脈中腹には土王の時代より土鬼の監視小屋が点在していて、膿の盆地経由でシュワまで通じる緊急通報経路(光通信による)が確立されている。
- 外洋
コンロ山脈を越えて更に南に行くと外洋が広がっている。
原作世界の航空機ではこの山脈を越えられなかったため、その存在は知られていない。
なお、基本的に外洋は海洋版の腐海植物と王蟲のようにそれを守る王蝦(キミエビ:元々は地上に生息する王蟲から派生/進化したもので形状が海老に似ているためこの名称となった)で覆われていて、北極圏/南極圏や水深が非常に深い(海溝など深度5千メートルを越えるような部分)海域以外では水上艦船の運航は通常不可能である。
- 東方砂漠
トルメキアの東方に海(内海)を隔てて存在する巨大砂漠で、水源が皆無に等しいため腐海植物も育たない。
移動するオアシスを求めて遊牧する人々がごく少数住んでいる。
この砂漠の更に東、ニッポンとの間には戦前の自動対空陣地が今も稼働しているところがあり、航空機はその周辺を通過することが出来ない。
- 大氷原
原作世界からは腐海を挟んで北に位置する北極圏全域。
オゾンホールの影響で強烈な紫外線が降り注ぎ、さらに気温が低く氷で閉ざされているため腐海植物は育たない。
ただ、北極海はある程度汚染から免れているため多少の海産物を捕ることができ、その海産物を食料とする人々があちこちで集落を形成している。
なお、氷原の民は過去に海産資源を横取りされた経験を持つために非常に重武装しており、航空機などが接近すれば躊躇無く撃ち落とす。
基本的には漁場を求めて移動しているため人口密度は東方砂漠並であるが、海中音波通信機を持っているため各部族間の連携は強力である。
兵器としては基本的に対空装備の戦車を含む地対空兵器が主で、あとは白兵戦用の銃、犬(といってもシロクマのように大きい)などである。
兵器は北極圏を取り巻く国々と物々交換(海産物と交換)で手に入れているため、かなり強力なものも所有している。
言語は主にロシア語とアラビア語である。(ほとんどの人間が両方を話せる)
普段の移動は専ら犬ぞりである。
- 合衆国
旧アメリカ合衆国の生き残った要人らが腐海から逃れるためにアラスカに移住して未だ合衆国を名乗っている。
実際には火の七日間とその後の腐海発生で大多数の国民は死に絶えており、一部の要人達が自分自身を墓所のような生物要塞に改造して地下に存在している状態。
実働部隊としてはヒドラを利用しているが、人間同様の知性を持ったヒドラは作れないため、司令官クラスとして体をヒドラ状態にした生き残り軍人がいる以外は単純に命令を遂行するだけのものである。
巨大な空中空母や超音速VTOL戦闘機など火の七日間の前に作られた高度な兵器を有してはいるが、武器弾薬を含めて新たに生産することは出来ないため数は少ない。
なお、無線通信はほとんど実用とならないために通信は光通信かテレパシーインカムであり地平線外通信を行う能力はない。
言語は当然英語を使用している。
戦後腐海と蟲を作り出し墓所と共に世界各地に広めた国でもあり、基本的に世界の全人類を一旦滅ぼして腐海による浄化の後に各地の墓所に蓄えられた人類胚によって地球を独占しようと考えているため、全ての国を敵対視している。
特に緑の国に対しては元々の自国土である北米大陸を侵食する侵略者と考えており、度々攻撃を仕掛けている。
- ニッポン
聖地となっている日本列島の富士山を総本山としている宗教国家。
海面上昇による大津波で壊滅した日本の浄土教の生き残りが東アジア/東南アジアに渡って広く布教した結果建国された。
建前としては予言の神である巨神兵が人間の妨害で成し得なかった(あくまで同教団の解釈)「浄化と再生」を目指しているが、実際は首脳部がより私腹を肥やすために領土と(農作物/工業製品含めて)生産量を増やそうとしているだけである。
ニッポンの領土の拡大を妨げ、腐海の拡大を目指している合衆国とは敵対しているが太平洋を挟んで膠着状態となっている。
緑の国に対しては何度か同盟を求める使節を送っているが、争いを好まない同国に全て断られている。
兵器は主に戦前に作られた兵器を聖地としている日本列島から掘り出して使っているが、当然それだけでは足りないので原作世界と同レベルのものは生産している。
なお、念話を得意とする人間が存在しているため、その力で合衆国よりは遠距離の通信が行えるが距離は500キロ程度が限界である。
言語は主にニッポン語であるが、戦前の日本語と東南アジア/東アジア諸国の言葉が入り交じって独自に発展したものであるため、戦前の日本語とは根本的に異なっている。
巨神兵の復活を画策しているが未だ成功には至っていない。
- アーリータワー(阿里塔)
ニッポンの南西部に位置する戦前の超高層住居跡。
地上高は千メートルを超え、全部で20の層になっている。
外観は円錐形となっているが、各層はドーナツ状になっていて層の間には風も吹くし太陽光も差し込むような設計になっている。
中央に各層を結ぶエレベータが有り、そこから居住区に延びる連絡通路がある。
ここは火の七日間の戦火も大津波も免れたが腐海の侵食により上2層を残して人間の居住は不可能となっている。
なお、最近まで独立自治を貫いてきたが、アユトが子供の頃にニッポン軍に占領され、現在はニッポン軍の支配下にある。
- CountryOfEverGreen(緑の国)
北米大陸を本拠地とする国で、勢力は南アメリカ大陸全域と北アメリカ大陸の北西部以外全てに及ぶ。
正式名称はCountryOfEverGreen(直訳すると常緑の国)だが一般的には緑の国と呼ばれている。
あらゆる生物と意志疎通を行える特殊能力を持った巫女を輩出する王家によって統べられている。
北米大陸は腐海発祥の地でもあるため浄化が終わるのも早く、既に北米大陸の中心部は大規模な清浄な地が出来ている。
緑の国の民はもともと腐海に脅かされながら中米/南米で生活していたが、腐海の進出で逃げ場を失って北米の清浄な地に住むようになった。
彼らの大部分は浄化された土地の外縁にあって多少瘴気の残る土地で暮らしているが、一部の人間はそのような状況下で自然に清浄な地への耐性を持つようになってきている。
王家はその最右翼で、彼らは同時に特殊能力(あらゆる生物と意志疎通する能力)も備えることとなり、その力によって北米大陸の墓所は緑の国に協力している。
兵器は墓所の協力と戦前の米軍兵器を発掘することによって強力なものを所有しているが、基本的に争いは好まず(王家の方針)自衛以外の目的ではまず戦わない。
ただし、合衆国は緑の国を敵視(と言うか自分たちの領土である北米を侵略する侵略者だと考えている)していて度々攻撃してくるため、本意では無いながらも合衆国とは敵対している。
ニッポンとは多少の交流はあるが、ニッポンの好戦的政策を嫌って基本的には中立関係となっている。
言語は主に英語をベースとする言語であるが、スペイン語等が入り交じって独自の発展を遂げているため合衆国の人間と直接会話することは難しい。
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- ナウシカ
主人公。
原作の終了から6年経過しているため、現在22歳。
原作終了後は土鬼再建のためにチククの後見人としてシュワに留まり現在に至る。
なお、風の谷はナウシカの意見に従ってトルメキアの信託統治領となっている。
- ルワ=チクク=クルバルカ
新生土鬼王国の初代国王として民に推され、現在まで国の復興に全力を尽くしている。
原作での年齢は9歳と仮定して現在15歳。
土鬼では男児は15歳で成人するのでちょうどその時期である。
- チヤルカ
チククによって新生土鬼諸侯国の軍司令官に再び任命されている。
なお、伝統的に土鬼は職業軍人はほとんど存在しない(大半は普段農民などとして働いていて有事の時だけ武器を取る)こともあり、平時は国の復興に尽力する国務大臣として国政にも携わっている。
現在57歳。
- クシャナ
前王(ヴ王)より王位を継承しているが、国に帰って最初の命令で自ら退位。
さらにトルメキア王国をトルメキア共和国とし議会を結成、貴族などの階級制度も廃止した。
自らは国が落ち着くまでの間、代王という名目で行政の最高責任者となる。
現在29歳(もうじき30)であるが独身である。
- クロトワ
クシャナに軍司令官を任命されている。
といってもトルメキア軍はほとんど壊滅したため、現在は兵員/装備ともにかなりの部分を辺境諸国に頼っている。
現在33歳であるがこちらも独身である。
- ミト
風の谷はナウシカの意見によってトルメキアの信託統治領となったが、ミトは風の谷代表としてトルメキア議会に参加している。
石化の病はセルム(森の人)に貰った薬(蟲から取るものらしい)で進行が大分緩和され、いまだ元気に飛び回っている。
- アスベル
原作終了後はユパの意志を継いで旅に出るが、その旅で世の中がペジテの技術力を必要としていることを知りペジテに戻る。
その後ペジテ市の族長としてペジテ復興に尽力している。
ちなみに、ペジテは先の戦争で全滅したため、トルメキアや土鬼から広く移民を受け入れて現在はかつての技術力を取り戻そうと復興の最中である。
なお、ケチャを后として娶り0歳の王子がいる。
現在22歳。
- ケチャ
原作終了後はしばらくシュワに残って復興に尽力していたが、アスベルによるペジテ再建の報を聞いてペジテに移民。
その後アスベルと結婚し待望の第一王子を設け、現在は育児に奮闘中。
現在22歳。
- タリス
旧土鬼僧会の出身で、現在はペジテへ移民しアスベルの右腕として働いている。
技術者としても政治家としても優秀でペジテの技師長という名目であるが国務大臣的な役割も担っている。
男性56歳。
- ユナ=ミラルダ
ユパ=ミラルダの兄。
生まれはユパと同じくトルメキア辺境だが、原作世界を旅していた弟ユパと違い、海を渡って東方砂漠に赴いた。
その後、砂漠の民としてニッポン等にも足を伸ばし、現在は東方砂漠で剣術を教えている。
剣士としてはユパに劣るが、軍師としての才能に長けている。
なお、志はユパと同じく「腐海の謎を解き、人類の行く末を見極めること」だが、性格はユパよりも好戦的であり、障害は力で排除しようと言う傾向が強い。
現在55歳。
- Josef=Weinberger(ジョセフ=ワインバーガー)
合衆国大統領。(と言っても地下に眠る肉塊要塞と化している)
- Philip=Magwire(フィリップ=マグワイヤー)
合衆国空中空母エンタープライズを旗艦とする第3艦隊の司令官であり、合衆国軍の現場最高司令官でもある。
第3艦隊は本国の防衛艦隊となっていて普段はアラスカに駐留しているため、フィリップもほとんどアラスカから離れたことはない。(つまり実戦経験は皆無に近い)
階級は少将。
原作世界を制圧した後は中央アジア占領軍司令官も兼任することになる。
体はヒドラなので年齢は余り意味がないが戦前から生存しているのは確かなのでゆうに千歳は越えている。
男性。
- Michael=Edward(マイケル=エドワード)
合衆国第3艦隊の副司令官。
上司であるフィリップからは普段「マイク」と呼ばれている。
階級は大佐。
フィリップ同様体はヒドラ。
男性。
- アユト
ニッポン軍遊撃隊西部方面隊の隊員。
階級は軍曹で基本的には壱偵のパイロットであるが、念話が出来るために自国勢力圏外への遠征が多い遊撃隊の通訳係を兼ねている。
男性21歳。
- チェン
ニッポン軍遊撃隊西部方面隊の隊員。
階級は上等兵でアユトと共に壱偵の搭乗員であるが技術的な知識もあるので整備士を兼ねている。
男性17歳。
- シズコ
アーリータワーでアユトの母の身の回りの世話をしている女性。
年齢は48歳。
- サクラ
アユトの妹。
アーリータワーでの戦闘でニッポン軍にさらわれて以来行方不明。
生存していれば年齢は18歳。
- 小原 桜紀(オバラ=オウキ)
ニッポン国の名目上の最高指導者であり、浄土教(ニッポン国の中枢となっている宗教)の教祖。
開祖の血を引くとされているがそれが真実かどうかは定かでなく、緒論がささやかれている。
ちなみに、本人はあまり教祖の座には執着しておらず、お神輿として周囲から祭り上げられた感が強い。
女性18歳。
- 小笠原 平八郎(オガサワラ=ヘイハチロウ)
ニッポン軍親衛隊西部分隊司令官で、階級は中将。
親衛隊は教祖直轄の部隊で、その各分隊は各方面隊(遊撃隊の方面隊を含む)を管理しているため、事実上ニッポン軍の西部方面に展開する部隊の中でのトップである。
なお、ニッポンでは貴族(教団上層部の家柄)は漢字の姓名を持っており、平民は漢字名を使わず姓も持たないのが普通である。
男性、64歳。
- ジョンハ
ニッポン軍遊撃隊西部方面隊の隊長で、階級は大尉。
遊撃隊は基本的に最前線部隊なので将校の数が少なく、佐クラスは存在しない。
男性、36歳。
- 山本 和子(ヤマモト=カズコ)
ニッポン軍親衛隊近衛分隊の分隊長で、階級は中佐。
親衛隊近衛分隊は教祖の身辺警護及び身の回りの世話をする部隊であり、現在は(教祖が女性なので)女性のみで構成されている。
近衛分隊にはその性格上かなり強い特権が与えられており、他隊からのものなら、たとえ上官からの命令であっても従う必要がない。
女性、41歳。
- シズク
ニッポン軍親衛隊近衛分隊の隊員で、階級は上等兵。
主に教祖の身だしなみに関する世話をしている。
戦争孤児であり教団の幼年施設出身。
念話の素質が高かったため、幼少のうちに即位した教祖の遊び相手として幼い頃より近衛分隊に採用された。
近衛分隊には似たような出自の者も多いが、教祖から特に気に入られているようである。
女性、18歳。
- 阿闍梨(アザリ)
浄土教の教団内で教祖に次ぐ地位の聖職者。
貴族の中から教祖によって任命されるが、阿闍梨となった物は名を捨てなければならない事になっているため、皆から阿闍梨と呼ばれる。
本来は純粋に教団の運営を行う総責任者であるのだが、ニッポンは教団と国家機構がほぼ同一となっているために絶大な権力を持っている。
ちなみに、現在は教祖がまだ若いために摂政でもあり、実質的にニッポンの全権を掌握していると言っても過言ではない。
男性、72歳。
- Iris(イリス)
緑の国王家の巫女(シャーマン)。
歴代王家の中でももっとも強い力を持っており、墓所の心の深淵まで触れることが出来る。
女性16歳。
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原作に登場しない(登場してはいるが余り明確になっていないものも含む)兵器や乗り物等の設定を説明する。
- 反物質
詳細は歴史で述べているが、反重力反物質のこと。
現在一般的に反物質と呼ばれるものは「通常反物質」として区別されている。
特性としては、マイナスの質量を持っている為、ブラスの質量を持つ通常物質や通常反物質とはまるで異なる運動特性を示し、通常反物質と同様の特性(通常物質との接触で対消滅を起こし大きなエネルギーを発生するなど)も持ち合わせている。
火の七日間の前に栄えていた文明では反物質をエネルギー源とした機関や、反物質を利用したリフター(浮揚機関)が主役となっていた。
- プロトンビーム/ビーム砲
プロトンビーム/ビーム砲と言えば、単純プロトンビーム砲/改良型プロトンビーム砲/重改良型プロトンビーム砲の何れかを指す。
単純プロトンビーム砲は粒子加速器により加速した陽子の束を放出するビーム兵器。
粒子加速器とエネルギーを供給する動力炉が大きくなるため(一部例外もある)航空機に搭載されることはほとんどない。
非装甲目標(一般航空機や人間など)には絶大な効果があるが、電気的なシールドを施した装甲目標にはあまり効果がない。
改良型プロトンビーム砲は2本のプロトンビームを一点に収束させることにより収束点に爆発的高エネルギー状態を作り出すもの。
収束点では高エネルギー状態によって周囲の原子核が分裂/融合するため、二次爆発を伴う。
この作用によって装甲目標にも十分な効果を持っている。
なお、当然のことながらビームを収束させないことで単純プロトンビーム砲としても使える。
重改良型プロトンビーム砲は通常2本の収束ビーム数を3本以上にしたもので、より破壊力が強い。
ただし、ビーム数を増やすとビーム同士の相互作用によって収束点の制御が非常に難しくなることから戦前も日本のみでしか生産していなかったので、このタイプはニッポンの富士山頂にしか残っていない。(経緯については歴史を参照。)
富士山頂の物はヴァジュラと呼ばれている。
なお、巨神兵の主砲は戦前の最終期にようやく完成した小型改良型プロトンビーム砲である。
- ガーディアン/昆虫兵器
戦前にアメリカが節足動物を元に作り出した巨大な昆虫/多足類の生物兵器の発展系。
当初は純粋な生物(と言っても人工的に作られた物ではあるが)として作られたが、戦後腐海に覆われた北アメリカ大陸を他の人間から守るために反物質カプセル(赤血球程度の小型カプセルで反物質の質量崩壊エネルギーによって微電流を発生させる)と電青素(電力/二酸化炭素/水からブドウ糖を作り出す酵素)で改良され水と二酸化炭素さえあれば数百年もの間使命を全うする生物兵器となった。
なお、勝手に増殖しないようにオスだけで構成されている。
ちなみに、王蟲などの腐海に生息する蟲達はこのガーディアンが進化したものである。(詳細は歴史を参照)
- 自動対空陣地
原作世界の東方にある巨大砂漠の更に東にあるもので、戦前に作られた物が今も一部稼働している。
改良型プロトンビーム砲と光学系自動補足装置、光通信による敵味方自動判別装置からなり、敵と判定(識別の問いかけに正規の応答をしない)された飛行物体は威嚇射撃の後に自動的に撃墜される。
- ライフル/機関銃/拳銃/砲
原作世界にはライフル技術(銃身内側に螺旋状の溝を掘ることで弾丸を回転させ命中精度を向上させる技術)が伝わっていないため主に有翼弾を使っていたが、ニッポンやアメリカにはライフル技術が残されており、同地域で生産された銃砲類はライフル形態となっている。
ちなみに戦前の機関砲は多銃身/単銃身に関わらず弾丸を縦に並べて電気的にわずかの時間差で点火することで非常に速い速度での連射を可能にしているものが多い。
- ミサイル
ニッポンや合衆国には電子技術や生物技術が残されており、光学系(IR含む)の誘導弾=ミサイルも存在している。
なお、大半が対空対地両用。
- レールガン
電磁カタパルトを使って弾を加速して発射する砲。
装置が大きくなるので、大型航空機や地上砲台にしか装備できないが、通常のミサイルと異なり初速が非常に高速なので、回避や破壊が困難である。
また、徹甲弾を使用すれば強固な装甲を装備した目標を破壊することも出来る。
多くの場合徹甲弾や近接信管付きの対非装甲航空機用砲弾を発射するが、ミサイルの射程を伸ばしたり命中率を向上させる目的で使用される場合もある。
- FAV-107C/HummingBirdII(ハミングバード2)
合衆国軍の主力戦闘機でVTOL機能を有している固定翼戦闘機。
主翼(と言っても水平飛行には反重力エンジンだけで大丈夫なので急機動用)は前進翼で水平尾翼が前にあるX-29タイプ。
エンジンはメインエンジンとして低温核融合炉+プラズマイオンドライブで、垂直離着陸用のリフトエンジンとして小型反重力エンジンも搭載。
標準搭載武装は機関砲のみだが、脱着可能なウェポンベイをコックピット左右に装着することができ、様々な武装に対応したウェポンベイ(もっとも基本的な構成は短AAMを多数搭載した物)が用意されている。
また、光学誘導ミサイルを回避するためのシーカーヘッド破壊用レーザービームも装備している。
なお、この機体が作られた戦前の最終期は電波攪乱粒子によってレーダーは使えなかった(現在も状況は同じだが)ため電波向けのステルス機能は備えていないが、半生物塗料によって機体はカメレオンのように周囲にとけ込むことができ、光学探知に対するステルス性を備えている。
- Enterprise(エンタープライズ)
合衆国軍最後の空中空母で、戦前に建造されたエンタープライズ級の一番艦。
全長317メートルで質量崩壊炉(反物質を利用)を主機関とし、リフト用に反物質エンジン、推進用にプラズマイオンドライブを装備している。
武装は搭載する戦闘機(FAV-107C×34機)の他に単純プロトンビーム砲1門(艦首中央)とCIWS(主にミサイルからの自艦防衛に使う自動対空機関砲)10門(艦首左右、メイン/サブブリッジ上、尾翼下、左右中央バーナー先、船体下面中央左右)、光学誘導短射程ミサイル(艦首左右、船体左右中央下に発射口)、ミサイル妨害用レーザー4門(左右尾翼先端、左右前方バーナー先)。
半生物装甲+静電シールドを備えており、光学ステルス性と単純プロトンビーム砲に対する耐性を備えている。
- DB-7A/Hercules(ハーキュリーズ)
合衆国軍の空中駆逐艦。
駆逐艦とは言っても爆撃機の代替という目的もあったために大量生産されたので個別艦名は付けられておらず、ハーキュリーズは機種名である。
全長86メートルで核融合炉を主機関とし、リフト用に反物質エンジン、推進用にプラズマイオンドライブを装備している。
武装はレールガン1門(船体下面中央)、ミサイル(レールガン発射の他に艦首甲板上、船体左右中央に発射口)、自由落下爆弾(船体下面に投下口)、CIWS4門(艦首、艦尾上下、ブリッジ上)、ミサイル妨害用レーザー2門(艦首、艦尾)で、FAV-107Cを2機搭載できる。
ちなみに、自由落下爆弾やミサイルの弾数を減らすことで輸送任務にも対応可能。
普及型のため装甲は単純なセラミック装甲のみである。
なお、土鬼の浮砲台と原理/形状などが酷似しており、浮砲台は墓所からこの艦の情報を得て作られたものと思われる。
- DB-7B/HerculesII(ハーキュリーズ2)
空母/巡洋艦等の大型艦不足のために旗艦機能とCIC(戦闘指揮所)を設けたDB-7Aの改良型。
全長は少し長くなって103メートル。
機関等は同じだが、武装からは自由落下爆弾の搭載スペースが省略され装甲の強化(セラミック装甲ではあるがDB-7Aの2倍の強度となっている)と航空機搭載スペースの拡張(FAV-107C×4機)が施されている。
- シャトル
合衆国軍が空中での艦船間移動や着陸不能な土地への降下に使用する小型航空機。
形状は長円形のカプセル状で、機関は反物質エンジンのみ。
前線での使用も想定されているので下部は銃撃を防げる程度の装甲を有し自己防衛用に機関砲1門を装備している。
上部キャノピーを外すと形状が土鬼の飛行瓶に酷似しているため、飛行瓶は墓所からシャトルの技術を得て作られたものと思われる。
- 水神
ニッポン軍ミサイル艇。
通常は有翼の飛行機であるが、水中(と言っても数メートル程度)に潜ることが出来る。
エンジンは低温核融合炉+水素/酸素プラズマロケットで、原作世界の多くの航空機と同じく戦前のものを発掘して使用している。
武装はレールガン(弾種は徹甲弾とミサイル)と機関砲のみだがレールガンは水中に潜った状態で発射することが出来る。
そのため奇襲攻撃に向いており、遊撃部隊が主に使用している。
ちなみに、ニッポン軍の機体は原作世界と同じく基本的に大半が発掘品(パーツ単位や機体単位)を使用しているため個体によって形状や能力にばらつきがある。
- 雷神
ニッポン軍汎用航空機。
輸送能力がメインであるが、攻撃能力もそれなりに有しており主力航空機として多方面で使われている。
輸送スペースに自由落下爆弾を搭載すれば爆撃機としても使用可能で、風神3機を搭載して空母ライクな運用も可能。
離着水も可能である。
エンジンは水神と同じく発掘ロケットエンジンを利用する。
武装は輸送スペースへの爆弾搭載を除いて、ミサイルと機関砲10門。
- 風神
ニッポン軍戦闘機。
対空戦闘がメインの小型戦闘機。
エンジンは合衆国軍戦闘機と同じく低温核融合炉+プラズマイオンドライブとリフトエンジンとしての小型反重力エンジン。
こちらは現代の一般的戦闘機と同じくデルタ翼で後ろに尾翼があるタイプ。
武装/塗装もほぼFAV-107Cと同様であるが、大きさが合衆国のものよりも小さいので搭載弾数は少ないが、運動性能が良い。
なお、この時代には当該機体を直接製造する技術は残されていないため、戦前の機体を発掘して修理/改修して使っている。
- 壱式偵察艇(いっしきていさつてい)
通称「壱偵(いちてい)」と呼ばれるニッポン軍の偵察戦闘機。
水神に搭載されており、海上や空中での搭乗員/物資運搬や周辺調査が主な任務であるが、元々風神を副座化し着水能力や収納性を向上させただけの機体なのでその名称とは裏腹に戦力としても充分な物がある。
エンジン等は風神と基本的に同じ。
- 伊舎那(いしゃな)
ニッポン軍軽輸送機。
主に人員や軽物資運搬目的で利用される高速輸送機。
雷神よりも小型で高速であるため、主に駐留兵の交代や司令部の移動などに使用されている。
エンジンは基本的に水神同様の発掘ロケットエンジンが主流であるが、風神の推進用エンジンを使用した高速型も存在している。(高速型は主に軍/教団上層部で利用されている)
戦闘に使用する機体ではないので、武装は機関砲1門のみ。
- 迦楼羅(かるら)
ニッポン軍虎の子の空中要塞。
その存在は伝説でしかないと言われてもいるが、実際に存在するようである。
詳しいことは全く不明。
戦前に神(=巨神兵)の船として作られ、地上にあっても天に届くほどの巨大さでその雷は一瞬で街を焼き払うほどの物だと伝説では言われている。
- 蝦除玉(エビヨケダマ)
ニッポン軍が開発したもので、海中に生息する王蝦を薬殺することが出来る化学物質を詰め込んだブイ。
基本的には着水した航空機を守るため周囲に撒いて王蝦を近づけないようにするために使用する。
- 戦車
東方砂漠の民と大氷原の民が使う乗り物で、キャタピラを装備していてる車両の総称である。(必ず何らかの武装はしているので戦車と呼んでも不思議ではない)
これらの地域では強風が多く航空機が実用的でないことから戦車が生産されているが、その他の地域では貴重なエンジンを使う場合航空機の方が重要となるため戦車は生産されていない。
エンジンは、ほとんどの場合原作世界の航空機と同じく発掘ロケットエンジンで、その排気をタービンで回転運動に変えて走行するようになっているが、一部には蒸気機関や可燃性ガスを用いた内燃機関のものも存在する。
武装は様々だが、東方砂漠の民は多くの場合単なる移動手段として使っているので機関銃程度であり、大氷原の民は対空戦闘に使用しているので装甲と対空火器(機関砲/ロケットが主であるが中にはミサイルを搭載するものもある)を搭載している。
- 犬
大氷原の民が主に移動に使っている犬ぞりを曳くための動物で、戦前に生物兵器として作られた物が原型となっている。
大きさはシロクマ並で、鋭い牙と爪を持っているため地上での戦闘でも使われる。
原型が樺太犬であるようで、外見は(大きさ以外)同犬種と酷似している。
-
原作で説明されていない(一部は伝承として説明されたりしているが)歴史としての設定を時系列で説明する。
なお、年号は火の七日間より以前については西暦で、それより後は火の七日間を起源とする年号で示す。
- 地域軍の発祥(2100年頃)
アメリカの軍事的暴走が目立つようになり、世界各国はそれに対抗できるよう各地域で相互防衛協定を結び地域軍を結成。
地域軍は東南アジア防衛機構、イスラム諸国同盟(中央アジア/中近東)、アフリカ諸国連邦、南アメリカ軍事同盟、EU(欧州共同体)からなる。
ただし、中国・インド・ロシア・アメリカ(カナダ含む)・イスラエルは連合を組まず、EUおよび南アメリカ軍事同盟はアメリカとも同盟関係を結んでいた。
また、東南アジア防衛機構には日本/韓国/オーストラリアも関係しており、この3国はアメリカとも同盟関係を結んでいる。
- 第5次中東戦争勃発(2156年)
イスラム諸国同盟は領土問題による小競り合いでイスラエルが多数のパレスチナ住民に発砲したことから正式にイスラエルに宣戦布告。
地域軍としての初めての戦争となる。
- 第1次イスラム戦争(2157年)
イスラエルはイスラム諸国同盟軍の物量に敵わず戦局は悪化。
それまで政治活動として国連による仲介を目指していたアメリカ/欧州諸国は国連での合意が得られないため、独断でイスラエルに加勢。
NATO軍(この時点ではアメリカ軍−EU軍の連合)によって大々的にイスラエル領内でのイスラム軍への攻撃が開始さる。
ただ、NATO軍の名目はあくまでイスラエルへの侵攻を止めることであったため、イスラエル領内でしか作戦行動がとれず、アラブ諸国の石油政策もあって戦局は泥沼化する。
2159年にEUは国民の反戦意識の高まりから撤退。
アメリカ国内でも反戦意識は高まってきたため、アメリカ−イスラエルは政治的に大分譲歩してイスラム諸国と停戦合意。
- 第2次イスラム戦争勃発(2201年)
イスラム諸国は石油自体の採掘量の減少と石油依存度の低下から経済事情が悪化。
そのため第1次イスラム戦争の停戦合意を厳しく履行させようとするイスラム諸国と拡大解釈であるとするアメリカ/イスラエルに摩擦が再燃し、テロリスト集団はアメリカ/イスラエル国内で大規模な同時多発テロを断行。
アメリカ/イスラエルは明確な証拠を示さないままイスラム諸国がテロリストを意図的に援助しているとして攻撃を開始。
イスラム諸国連合は全面的に反撃を開始して全面戦争に突入。
EUは後方支援のみとしながらもアメリカ側につき、アフリカ諸国は表面上は中立としながらも石油(アフリカ諸国はまだ石油依存度が比較的高い)につられてイスラム側を実質的に援助。
- 南沙諸島問題(2202年)
未だ石油依存度の高い中国は、イスラム戦争のため東南アジア諸国にアメリカの軍事的協力が得られないと見て南沙諸島海底油田を電撃的に占領。
また台湾にも侵攻し、それぞれ旧来の領有権があると宣言した。
それに対し、東南アジア防衛機構は実力行使では敵わないと見て国連による政治的解決を試みるがイスラム戦争で国連はほとんど機能せず、睨み合いとなる。
- 第二次イスラム戦争終結(2205年)
アメリカ軍は強力な純核融合兵器や完成したばかりのプロトンビーム兵器などを実践投入し、イスラム諸国同盟軍を粉砕。
イスラム諸国は全てアメリカの一時占領下となり戦争は一応の終結となる。
ただし、イスラム側の主要人物などはヒマラヤ山中からロシアや中国に逃げ延びる。
- シベリア独立(2208年)
ロシアは経済活性化のために移民を広く受け入れシベリア開発を積極的に行っていたが、イスラム戦争により難民となったイスラム系住民などが多く移民として流入していた。
そして、重税と移民差別にイスラム系住民が蜂起してシベリアの独立を宣言。
ロシア軍は武力制圧に乗り出すが中国がシベリアを援助して膠着状態に陥る。
- 南沙諸島問題解決(2212年)
中国は国連決議に従って3年後に南沙諸島を返還することを決定。
ただし、その背景には10年間で中国国内に大規模な石油備蓄を完了させ、石油依存度もかなり低くなったためうまみが無くなったという点が強い。
東南アジア諸国はこの点にいらだちを感じており、アジア問題には無関心で実力行使に及ばないアメリカと国連に対する反感が非常に強くなる。
- 火星移住開始(2231年)
火星のテラフォーミングが完了し、移住が開始される。
ただし、国連で承認されていないシベリアと、色々な理由を付けてアメリカとEUに未だ大部分が占領統治されている旧イスラム諸国同盟は対象から外されている。
- テロ多発(2231年〜2303年)
イスラム系の住民(占領統治下/シベリア)の反米/反EU意識は膨らむ一方で各地でジハードと称されるテロ活動が活発に行われる。
それに対しアメリカ/EU諸国は国民レベルで反イスラム感情を強くして行き、政治的な弾圧も強化され、イスラムの反感は更にますという悪循環を繰り返す。
- イスラム共和国建国(2304年)
色々な理由を付けて占領を続けてきたアメリカとEUであったが、東南アジア諸国/アフリカ諸国からのバッシングが強くなりようやく独立を承認。
ただし、憲法などもほとんどアメリカ側が用意したほぼ傀儡政権である。
とはいえ、一応名目の上では国として独立したため、イスラム系住民も火星移住を開始する。
- シベリア共和国承認(2314年)
アフリカ諸国/東南アジア諸国が相次いでシベリア共和国を承認。
元々承認していた中国を入れて過半数を獲得したため、国際的に承認されることとなった。
これにより、イスラム系住民の火星移住は更に加速する。
- イスラム系住民の迫害(2320年頃)
火星にも人口が増えてきたが、この頃になると欧米人によるイスラム系住民への迫害が社会問題となる。
それに伴って一時は収まっていたテロが火星/地球問わずに再燃する。
- 火星暴動(2378年)
火星で欧米人の警官がイスラム系住民をリンチするビデオが報道され、イスラム系住民が暴動を起こす。
火星管理機構は警官隊によって一応暴動を収めるが、その後長期間にわたって散発的に暴動が発生し、やむを得ずイスラム系住民の隔離政策を実施する。
以降、火星はイスラム系住民の居住地域とそれ以外の住民の居住地域が物理的に隔離され、通行が制限されるようになる。
- 火星軌道リング運用開始(2391年)
火星赤道上に軌道リング(静止衛星軌道を一周するリング)と軌道エレベータ(地表から静止軌道まで延びるタワーとその中を通るエレベータ:ちなみに地球では大気と重力の関係から実現不可能)が運用開始。
惑星間航行宇宙船は今まで月面や地球の衛星軌道上で建造されてきたが、これにより宇宙船は専ら火星で作られるようになった。
また、造船景気で火星は経済的に非常に潤うことになるが、隔離されたイスラム系住民はこの恩恵にあずかることが出来ず貧富の差が広がることになる。
- 光速航法完成(2399年)
物質波レーザーによる量子テレポート技術を応用して物質を光速で移動させる技術が完成。
ただし、テレポートを行うためには入り口ゲートと出口ゲートを必要とするため恒星間調査船があわせて建造開始される。
- 恒星間調査船第1号出発(2401年)
恒星系探査を目的として太陽系から一番近いαケンタウリ星系にテレポートゲートを設置すべく建造されていた調査船第1号が完成し出発。
東南アジア諸国(日本/韓国も参加)設計/出資(建造は火星)で乗員も同様。
- 恒星間調査船第2号出発(2406年)
バーナード星系に向けて調査船の第2号が出発。
ロシア製で乗員もロシア人。
- イスラム共和国−シベリア共和国対立(2407年〜)
アメリカ/EUの傀儡政権に近いイスラム共和国は親米政策とキリスト教への歩み寄りを続けてきたが、シベリア共和国にイスラム原理主義のカリスマ的指導者が現れイスラム共和国へも原理主義の波が押し寄せる。
元々国民レベルでは反米感情も高いイスラム共和国は国家的な危機としてシベリア共和国との国交を断絶。
- 火星原子力発電所事故(2410年)
火星の軌道リングで原子力発電所が爆発事故を起こす。
原因は普通考えられないようなものであったためテロではないかと噂される。
またこの事故で完成間近だったアメリカ製調査船は大破。
軌道リング自体もかなりの損傷を受け、数十年は大型船の造船が出来なくなる。
この事故によって計画されていた第2軌道エレベータは予算調達が難航して白紙撤回される。
- 鉱山衛星落下事故(2416年)
鉱石採掘を目的として小惑星帯から火星軌道上に運ばれてきていた鉱山衛星で核融合炉を用いた採掘機械が爆発事故を起こす。
この事故の影響で鉱山衛星は軌道を外れ火星に落下。
ちょうどイスラム系住民の居住地域を直撃したため、イスラム系住民に数百万人規模の被害が出る。
なお、落下位置が狙いすましたようにイスラム居住区だったこと、原理的に暴走しない核融合炉の爆発であること、先の発電所事故がイスラム系住民のテロだと噂されていた(真偽は不明)こと等から、この事故は報復ではないかとささやかれる。
- 火星イスラム共和国独立(2420年)
先の事故から復興してきたイスラム系住民は反米感情を高め、あくまで単なる事故としてかたづけようとする火星管理機構にもいらだちを覚えていた。
その中でカリスマ的な宗教指導者が現れ住民は一気に団結。
火星イスラム共和国として独立宣言を行う。
火星管理機構やアメリカ/EUは当然認めなかったが、その他の国々は概ねこれを承認/黙認したため国連の採択では棄権多数ながら承認。
国連の組織である管理機構も認めざるを得なくなる。
- 調査船第1号からの連絡途絶(2421年)
αケンタウリに向かっていた恒星系調査船からの連絡が途絶。
直前の連絡で特に何も報告していなかったためエイリアンとの遭遇説や船の設計自体の問題説など諸説が入り乱れる。
このような状況で恒星間航行自体の現実性が疑問視され、再び建造が開始されていたアメリカ製調査船は計画の中止を余儀なくされる。
なお、国連総会はこの後バーナード星系に向かった第2号調査船が無事到着するか第1号調査船の事故原因が特定されるまで有人の恒星間航行を禁止する国際法案を採択する。
- 無人恒星間調査船出発(2432年)
アメリカは恒星間調査の再開に向けて無人探査機による航路安全性調査を計画し無人探査機をαケンタウリ、バーナード星、ウルフ359等調査予定の各恒星系に向けて発射。
ただし、主に途中経路の安全性調査を目的としていることやエンジンが比較的プアであった(有人調査計画ほどコストが掛けられなかった)ため速度が遅く、到着予定は一番近いαケンタウリでも約400年後となる。
- 反物質の発見(2485年)
ヒマラヤ山中で地質調査を行っていた学術調査隊は地中深くに隕石破片を発見。
その中から反重力反物質(マイナスの質量を持った反物質)が発見される。
ちなみに、通常の反物質は構成量子の電荷が逆転していて通常物質と接触すると対消滅を起こすだけの物で、重力への反応などは全て通常物質と同じであるが、この反重力反物質は質量がマイナスである為運動特性も全く逆転している。
なお、この時点で通常の反物質はエネルギー源として実用化の見通しが立っていなかったため、以降単に反物質と言う場合はこの反重力反物質を指すようになった。
- 反物質による質量崩壊実験成功(2488年)
日本の研究者が反物質と通常物質の作用による質量崩壊実験に成功。
同時に質量崩壊エネルギーを取り出すことにも成功。
- 反物質テレポート実験失敗(2490年)
テレポートゲートによる反物質のテレポート実験が行われたが失敗。
論理的な考察と矛盾する展開となったため原因が特定できず。
- ヒマラヤ紛争勃発(2492年)
元々国境が曖昧でイスラム共和国建国時に国連管理として残されたヒマラヤ山中だが、反物質が継続的に採掘されるようになったため各国の注目を集めシベリア共和国/中国/イスラム共和国/インド/ロシア/EUが主張し始める。
合わせて、反物質鉱山建設に莫大な投資を行ったアメリカ/東南アジア諸国/日本は国連管理の継続を主張。
この年ついに中国が実力行使を開始。
それを阻止する目的でアメリカ主導の元に国連軍が結成されるが、領有権を主張している各国は国連管理が継続される理由になるとして協力を拒否。
インド/イスラム共和国は独自に軍を進め小競り合いが繰り返されるようになる。
- 反物質/通常物質の人口合成に成功(2523年)
オーストラリアの研究者が反物質及び通常物質の人口合成に成功する。
ただし、大量のエネルギーを必要とするため通常エネルギー源から合成するのは現実的でなく、反物質鉱山の重要度は変わらない。
- 火星で反物質発見(2524年)
火星イスラム共和国内で反物質が発見される。
これによって今まで目立った産業が無く貧困だった火星イスラム共和国は一躍列強となる。
- 反重力エンジン発明(2525年)
アメリカで質量崩壊−再合成というサイクルによる反重力エンジンが発明される。
これによって軌道エレベータを持たない火星イスラム共和国も実用的な軌道リングへのアクセス手段が得られ造船産業も活発化する。
- 恒星間調査船第2号到着(2529年)
バーナード星系に向かっていた調査船が同星系に到着。
恒星系の調査を開始し、同時にテレポートゲートの試験運用を開始する。
なお、調査船が無事到着したことによって恒星間航行は解禁される。
- テレポートゲート失敗(2541年)
地球−バーナード星系−地球と転送された試験用コンテナが地球に到着。
非生物の伝送は問題なかったものの、実験用動物の転送では全ての個体に脳機能の異常が見られた。
近距離でのテレポートには問題ないことから調査船は原因究明のため段階的に転送試験を繰り返しながら通常航法で地球に帰還することになった。
この失敗によって再び恒星間調査計画は頓挫することになる。
- ブラックウェンズデー(2541年)
中国で金融関連の巨大な汚職事件が発覚。
それによる金融不安から中国市場で株価が暴落。
さらに韓国の学者が地球での反物質予想埋蔵量はあと数年でつきるという研究結果を発表したため、反物質関連株も各国で大暴落。
それらが重なり世界的な経済危機に陥る。
- 反重力エンジン制裁(2542年)
アメリカは反重力エンジンの特許権を侵害しているとしてシベリア共和国及び火星イスラム共和国に対し関税500%と言う経済制裁を実施。
- シベリア共和国ヒマラヤ出兵(2542年)
アメリカの経済制裁に対抗すべくシベリア共和国は中国軍に協力してヒマラヤの反物質鉱山攻略を本格化。
国連軍として駐留していたアメリカ軍は奇襲を受けて壊滅。
インド/EUは撤退。
- 第3次イスラム戦争(2542年〜)
ヒマラヤ反物質鉱山でのアメリカ軍壊滅を受けてアメリカは正式にシベリア共和国と中国に対して宣戦布告。
この時点では東南アジア防衛機構/EU/インド/イスラム共和国もアメリカに協力を表明。
ただし、日本は自国が戦場となることを嫌って中立を表明。
- イスラム共和国内戦勃発(2543年)
アメリカへの軍事支援によってシベリア共和国と戦うことに民衆が難色を示していたところにシベリア共和国の宗教指導者の呼びかけによって民衆及び軍部の一部が蜂起。
イスラム共和国は全土で内戦が開始された。
- 中国−シベリア自動対空陣地完成(2543年)
中国及びシベリア共和国は西側国境付近の山中にプロトンビームを用いた自動対空陣地を建築。
独占状態にある反物質をふんだんに用いて質量崩壊エネルギーを利用したかなり大規模な物で、ユーラシア大陸西側からの同国への航空機/ミサイル攻撃は事実上不可能となり、戦争は太平洋上での小競り合いを繰り返す膠着状態となり、第3次イスラム戦争は明確な終結を見ないまま睨み合いの状態に推移する。
なお、日本海/オホーツク海沿岸にも自動対空陣地が建築開始される。
- アメリカ軍火星航路封鎖(2550年)
アメリカは火星イスラム共和国がシベリア共和国及び中国に反物質等の物資を供給しているとして地球−火星間の航路を封鎖。
強行突破を計る火星イスラム共和国艦船と度々戦闘が発生する。
- アメリカ孤立(2551年)
アメリカの航路封鎖によって火星シベリア共和国からの反物質輸入が激減した各国はアメリカの航路封鎖を批判。
同時に火星管理機構からの輸送船がアメリカ軍に誤射されるなどの事故が発生したため各国はアメリカへの協力を撤回。
アメリカはカナダ/南アメリカ軍事同盟以外の協力を失って孤立する。
- 大イスラム共和国成立(2557年)
イスラム共和国は内戦によって事実上崩壊しシベリア共和国の統治下となる。
シベリア共和国大統領と内戦指導者は大イスラム共和国の建国を宣言し、シベリアからアフリカ北部までに及ぶ大国家が形成される。
- 火星戦争(2558年)
イスラム勢力の拡大と孤立に脅威を感じたアメリカはイスラム勢力減らしと反物質鉱山の入手を目的として火星イスラム共和国に全面攻撃。
核兵器を初めとする非人道兵器を大量に使用して火星イスラム共和国をほぼ壊滅。
- 火星滅亡(2561年)
レジスタンス的に戦闘を繰り返してきた火星イスラム共和国の残党はアメリカ軍を掃討すべく実験段階であった反物質爆弾(今まで爆発的反応はしないとされてきた質量崩壊反応を爆発的な反応へと応用した物)を使用。
この爆弾によって一時レジスタンスはかなりの国土を掌握したが反物質鉱山への攻撃でこの爆弾が鉱山内の反物質と反応。
火星は半分が吹き飛び軌道を外れるほどの大爆発を起こし滅亡する。
- 50年戦争(2562年〜2600年)
火星滅亡の引き金になった反物質爆弾は大イスラム共和国から火星イスラムレジスタンスに渡ったとアメリカが主張。
それに対し、大イスラム共和国はアメリカの侵略がそもそもの発端だと反論。
太平洋/大西洋/宇宙空間での衝突が繰り返される。
実際には第3次イスラム戦争から継続した軍事衝突であるが主に火星滅亡以降を50年戦争と呼んで区別する。
- イスラエル滅亡(2563年)
大イスラム共和国は宿敵イスラエルに全面攻撃。
圧倒的な物量にイスラエル軍は為す術が無く、アメリカからの支援に頼ることになるが、アフリカ諸国はアメリカへの協力を拒否したため補給路が断たれわずか3ヶ月でイスラエルは滅亡する。
なお、アフリカ諸国も難民の受け入れや通過は人道的見地から認めたため大半のユダヤ人はアフリカ/アメリカ/EU等に逃れ、アメリカには亡命政府が作られた。
- ヒマラヤ反物質鉱山閉鎖(2569年)
一時期の予測よりは長続きしたがこの年とうとうヒマラヤの反物質鉱山は採掘量がほとんどなくなり閉鎖される。
- 改良型プロトンビーム砲(以降改プ砲)発明(2574年)
日本の技術者がこれまで主に非装甲目標にしか効果の無かったプロトンビーム砲の改良に成功。
複数のビームを収束させることによって収束点の原子核を分裂/融合させることができ、その効果による二次爆発で戦車や艦船などの装甲目標も容易に破壊できる。
さらに翌年には収束ビーム数を飛躍的に向上させた重改プ砲の開発に成功し富士山頂に同砲を実戦配備。
- 南アフリカで反物質発見(2576年)
南アフリカのダイヤモンド鉱山で反物質が発見される。
同国に反物質鉱山(採掘量は少量)が作られるが、EU/アメリカ資本の会社が採掘権を握ることになる。
なお、この頃から同国で再びアパルトヘイトの気運が高まっており、反物質鉱山の収入は再び白人/黒人の貧富の差を広げることになる。
- 改プ砲輸出開始(2579年)
日本は同砲を東南アジア防衛機構諸国にライセンス供与するすることを決定。
(ただし収束ビーム数拡張技術を除いた形のため重改プ砲よりは破壊力が劣る)
東南アジア各国で生産/配備が開始される。
- 中ア戦争勃発(2580年)
改プ砲に脅威を感じた中国はインドシナ半島に侵攻。
タイの工場地帯までを一時的に手中に入れ、改プ砲の技術を奪取する。
これに対し、東南アジア防衛機構(日本/韓国含む)は中国の侵略と見なし改プ砲による攻撃を含む全面攻撃を開始。
しかし、改プ砲は莫大なエネルギーを消費するため固定サイトでの運用しか出来ておらず地平線以遠への攻撃も不可能なため国境付近で膠着状態となる。
- イイ戦争勃発(2581年)
対中包囲網を強化すべく東南アジア防衛機構はインド軍に改プ砲を提供。
その見返りとしてインド軍も対中戦線に協力することになる。
なお、反物質鉱山が閉鎖されたとはいえまだ山中には埋蔵されている可能性が残されていることからヒマラヤ領有問題は未だくすぶっており、インドは改プ砲を利用して再びヒマラヤに進軍を開始。
- 南アフリカ内戦(2581年)
アパルトヘイトの強化と反物質鉱山の利益が白人と出資母体にほぼ吸収されてしまうことに怒りを感じた国民が暴動。
内戦へと発展し、新政府が樹立される。
アフリカ諸国連邦は新政府を承認したが、EU及びアメリカは資本の強奪だとしてこれを非難。国交を断絶。
- 大イスラム共和国改プ砲入手(2582年)
インド軍の侵攻で改プ砲が使われたこともあり、大イスラム共和国は中国と取引し改プ砲の技術を入手する。
この取引で大イスラム共和国は備蓄量の半分にも及ぶ反物質を中国に提供することになる。
- アフリカ戦争勃発(2582年)
アメリカ及びEUは反物質鉱山の採掘権を巡ってアフリカに侵攻を開始。
アメリカ軍/南アメリカ軍事同盟軍は喜望峰方面から攻撃、EU軍はベルデ岬方面から攻撃を開始する。
- アフリカ改プ砲購入(2583年)
アメリカ/EUの熾烈な攻撃に対し南部の反物質鉱山を死守すべく軍備を南部に傾倒して凌いでいたアフリカ諸国同盟であったが、そのため北部はEU軍に上陸を許し、既に北半分近くまで侵攻を許していた。
この状況を打開すべく反物質の供与と引き替えに東南アジア防衛機構から改プ砲を入手する。
これによって南部では洋上のアメリカ軍をほぼ撃退することに成功する。
ただし、北部戦線は既に砂漠部より南下しており改プ砲が効果的に使用できなかったため、戦局的に盛り返しは見せるもののほぼ膠着状態となる。
- 大イスラム共和国アフリカ戦争に参戦(2584年)
アフリカ大陸中部をEU軍が掌握したこととアフリカ戦争でEUがアメリカと共同戦線を張っていることに脅威(EUの掌握したアフリカ中部をアメリカ軍が対イ攻撃に利用する可能性があったため)を感じた大イスラム共和国はアフリカ諸国同盟を支援するという名目で南進作戦を決行。
EU軍の支配地域に攻撃を開始する。
- EUが50年戦争に参戦(2584年)
大イスラム共和国の南進で挟み撃ちとなり補給路も断たれたEUアフリカ遠征軍はほぼ壊滅。
このためEUはアメリカに協力し大イスラム共和国に正式に宣戦布告する。
これによってアメリカ軍は欧州経由でも大イスラム共和国を攻撃できるようになり、インドからの攻撃と相まって大イスラム共和国は南北に分断される。
なお、このときヒマラヤ山中に建設中だった改プ砲がアメリカ/EU軍に接収され、列強は一通り改プ砲を手に入れることとなる。
- 北イスラムエネルギー危機(2585年)
北イスラム(大イスラム共和国の北半分:旧シベリア共和国)は改プ砲入手時の取引で備蓄反物質の大半を中国に引き渡していたため、反物質の備蓄が底をつき、改プ砲などの大エネルギーを消費する兵器の使用が困難となる。
さらに、この状況をカバーするため過負荷状態で運用していた核融合発電所2基(全5基中)が事故を起こし、部分的に市街地の一般電力すら賄えない状況となる。
- アメリカ軍シベリア侵攻(2585年)
北イスラムのエネルギー危機を察知したアメリカは大出力兵器の使用が困難であることを推測し電撃的に北極海/ベーリング海峡を越えて侵攻。
一気に北半分を掌握する。
- 米中戦争勃発(2586年)
アメリカ軍の侵攻を脅威と感じた中国は北イスラムに全面的協力を表明。
人民解放軍/北イスラム軍で上陸したアメリカ軍と戦闘を開始する。
- 南北アメリカ戦争勃発(2591年)
アフリカ戦争でアメリカ軍に協力したため多大な被害を受けた南アメリカ軍事同盟内でクーデターが発生。
アメリカが建設した改プ砲を略取して南アメリカ全体を電撃的に掌握する。
また、このクーデター政権に対しアフリカ及び南イスラムが支援したため、アメリカ軍と熾烈な戦闘が行われた結果パナマ周辺は改プ砲の応酬で陸地が分断されるほどの状況となり膠着状態に陥る。
- 百年戦争(2600年〜2700年)
南北アメリカ戦争以降世界各地は戦争状態となったが、改プ砲のためにどの戦線も膠着状態が続くことになる。
基本的には全て個別かつ継続した軍事衝突であるが、この期間の戦争は総称として百年戦争と呼ばれる。
- 生物/化学兵器の応酬(2612年〜)
アメリカ軍は多方面の戦線を抱えながら全て膠着するという状況の下で、打開策としてウィルス兵器の使用を開始する。
これに対抗して各戦線では化学兵器や細菌兵器が使用され地球環境は大幅に汚染される。
- 生物/化学兵器耐性処理(2613年〜)
アメリカ軍は前線の兵士に対し生物/化学兵器への耐性をもたらす細胞寄生体の注入を開始する。
これはミトコンドリアのように細胞内に寄生し、宿主細胞と共に増殖するもので人体に有害なウィルス/細菌/化学物質を取り込んで結晶化することにより致死濃度を飛躍的に向上させるものである。
- 耐性寄生体蔓延(2615年)
国内へのテロ攻撃などで生物/化学兵器が使われるようになると、アメリカは民間人や家畜、農作物にまで耐性寄生体の注入を開始。
この寄生体は様々な経路で国外にも持ち出され、数年で世界各国に広まる。
- 改造兵士実践投入(2619年)
東南アジア防衛機構は遺伝子操作で基礎体力を通常の人間の数倍程度まで向上させた兵士を実践投入。
彼らはパワードスーツと呼ばれるハイテク鎧で更に運動能力を高めることで、改プ砲などの攻撃をかいくぐって適地に潜入する特殊部隊として活躍する。
この部隊の投入によって東南アジア防衛機構は中国沿岸部に上陸を果たし前線を中国大陸まで前進させることに成功する。
- 電波攪乱粒子/耐性寄生体攻撃ウィルスの使用(1620年)
改造兵士による機械化歩兵に悪戦苦闘した中国は電波攪乱粒子を開発し散布。
これによって電波通信はほとんど不可能となり機械化歩兵は大規模な作戦行動がとれなくなる。
また、同年耐性寄生体そのものに感染し破壊するウィルス兵器も投入し、前線を再び中国大陸から押し戻すことに成功。
さらに、このウィルスは北イスラムの対米戦線にも使用されこちらの前線も北極海沿岸まで押し戻す。
- 巨大昆虫兵器投入(2638年)
対耐性寄生体ウィルスによってシベリアからの撤退を余儀なくされたアメリカは遺伝子操作で作り出した巨大節足動物を兵器として投入。
再度シベリアで前線を押し戻す。
形態は昆虫様ばかりでなく多足類様のものなどもあったが主に巨大昆虫兵器と称される。
なお、この兵器によって南米戦線でも前線はコロンビア以南まで前進。
EU経由でアフリカ戦線でも使用され南イスラムはほぼ壊滅する。
- 超能力兵士投入(2639年)
中国は超能力研究から遺伝子操作で人工的に超能力を持たせた兵士を投入する。
彼らはテレパシーによる通信、心理破壊による対人攻撃、心理盗聴による諜報活動などを可能とし、更にアメリカ軍の昆虫兵器に対しても心理破壊の応用で行動抑止/混乱等の効果を発揮。
ただし、対人作用に関しては鍛錬や投薬で影響を極小化することが可能であったため前線を押し返すほどの効果はなく、シベリア戦線も再び膠着するに留まる。
- 改良型対耐性寄生体ウィルス投入(1640年)
中国→北イスラム→南イスラム→アフリカ諸国連邦と対耐性寄生体ウィルスが渡り、アフリカ連邦はこれを改良してアメリカ軍の昆虫兵器に対し効果を示すものを開発。
またこのウィルスは多少潜伏して潜伏期間中に空気感染するためアフリカ戦線の昆虫兵器はほぼ壊滅。
更に南米戦線/シベリア戦線でも同様に昆虫兵器は壊滅する。
ただし、昆虫兵器が壊滅しただけなので決定的な挽回にはならず、前線は以前のままで膠着するに留まる。
- 耐性寄生体突然変異(2646年)
アメリカ軍の昆虫兵器を壊滅させた改良型対耐性寄生体ウィルスは、昆虫兵器間で感染を繰り返すうちに自然変異して人間やその他の生物にも感染するようになる。
昆虫兵器以外の生物に感染した場合、耐性寄生体を突然変異させてミトコンドリアと融合させてしまう亜種も現れる。
その結果、耐性寄生体と融合したミトコンドリアは汚染物質(生物/化学兵器など)が全くない環境では過剰にエネルギーを生産してしまい、細胞自体を破壊したり糖分欠乏を招いて正常発育を阻害したりするようになる。
多くの場合体内に豊富な糖分や脂質をもつ動物では前者の反応、糖分や脂質の少ない植物では後者の反応となる。
この結果、人間が関与していた生物(人間/家畜/農作物)の大半は適度な汚染状態がなければ生きられないという結果に陥る。
- アメリカがテレパシーインカム開発(2659年)
中国の開発した電波攪乱粒子はイスラム勢力によって各戦線に広まり地球上ではほとんど電波関連機器が使用不能となっていた。
そこでアメリカは捕虜としてとらえた中国軍の超能力兵士を研究し、彼らの能力のうちテレパシー通信を模倣する機器を作成することに成功する。
ただし、通信距離は本物の超能力兵士には及ばず、あくまで近距離の光通信に置き換わる程度のものであり大局には影響しない。
- 日本に浄土教誕生(2671年)
戦線は膠着しつつも戦争は続き、疲弊していく世界のなかで日本には新興宗教として浄土教が誕生する。
開祖は小原 蒼海(おばら そうかい)。
仏教/ヒンズー教/神道を合わせたような形態で、開祖によれば「全ての宗教の根元をなす」教えと言うことである。
教義は2700年に破壊と再生と調停の神「巨神兵」が降臨して全ての戦いを終結させ、地上を浄土と化すという開祖の予言を中心とする。
- 日本で改プ砲の小型化に成功(2688年)
日本の技術者が収束ビーム数は大分限定されるものの、改プ砲を小型化させる事に成功。
今まではエネルギー供給元と併せて高層ビル並の構造物が必要だったのに対し、砲自体は大型航空機や艦船で移動が可能なレベルまで小型化することが可能となる。
同時に小型化によって生産量も飛躍的に増大する。
- インドで電力ブドウ糖合成酵素完成(2689年)
インドの研究者は葉緑素を元にして電力/二酸化炭素/水からブドウ糖を合成する酵素である電青素(色がコバルトブルーであったためこの名称になった)を開発。
前線兵士や難民キャンプ等で実用が開始される。
- オーストラリアでエネルギーパック完成(2690年)
唯一直接戦闘に関わっていない大国であるオーストラリアは科学研究が盛んとなっており、宇宙開発用として質量崩壊エネルギーと核分裂を相互作用させて高効率で電力を作り出す技術を確立。
ドラム缶程度のエネルギーパックで核融合発電所1基×1ヶ月程度の電力を供給できるものとなる。
- 日本を浄土教が席巻(2691年〜)
戦争による荒廃と疲弊を背景に、日本国内では浄土教の教えが空前のブームとなり、政界/財界などにも熱心な信者が現れる。
また海外にも広がりを見せ、東南アジア諸国のみならず、オーストラリア/アメリカ/敵国である中国にも信者が現れる。
- 浄土教開祖死去(2693年)
浄土教開祖の小原蒼海が死去。
正当な後継者は長男であったが病弱であったこともあり、教団内で強硬派の支持が強かった3女の阿闍梨(あざり)が教祖となる。
なお、開祖は表向き病死とされているが、実は阿闍梨を推す勢力による毒殺ではないかという噂もある。
- 東亜工廠設立(2695年)
教団内の派閥再編などを終えて地位を確固たるものとした小原阿闍梨は政財界の信者を使って「東亜工廠」(とうあこうしょう)という生物兵器研究/製造会社を設立。
表向きは教団と直接関わり合いを持たないが、内情は幹部/管理職のほとんどを教団信者が占め、社員も半数近くは信者であった。
また、東亜工廠は教団のネットワークを使って各国に支社/分身会社を設立。
更に教団のコネで各国の兵器開発/生産を受注して一気に巨大企業となる。
- オーストラリアで空間歪曲エンジンが完成(2696年)
エネルギーパックの研究を続けていたオーストラリアはその過程で空間の歪曲が発生することを発見。
強力な磁力で空間の歪みを連続的にコントロールし推進力を得るエンジンを開発する。
なお、この方法は空間歪曲の為に開放状態での臨界核分裂及び質量崩壊を必要とし、さらに非常に強力な磁力波を用いるため宇宙空間での使用が前提とされる。
- 東亜工廠が歩行型改プ砲を開発(2698年)
東亜工廠はアメリカの巨大生物兵器製造技術、オーストラリアのエネルギーパック技術、インドの電青素技術、日本の小型改プ砲技術を用いて改プ砲搭載の自立歩行型生物戦車を開発。
ただし、中国軍の超能力兵士による心理破壊攻撃の影響を受けないように人間が搭乗して操縦する形態を取った。
これによって東南アジア防衛機構軍は再び大陸への上陸を果たし前線を内陸部へ前進させる。
- 中国が改良型対耐性寄生体ウィルスを投入(2698年)
歩行型改プ砲の投入に対し中国軍はアフリカ諸国同盟の開発した改良型対耐性寄生体ウィルスをイスラム勢力経由で入手して実践投入。
アメリカの昆虫兵器をベースとしていた歩行型改プ砲は壊滅し、再び前線は膠着する。
- 改良型歩行改プ砲開発(2699年)
東亜工廠は哺乳類の遺伝子を用いることで歩行型改プ砲を改良。
改良型対耐性寄生体ウィルスに対抗する。
ただし、昆虫兵器は変温動物であるためIR探知が難しかったのに対して、恒温動物である哺乳類は容易にIR探知されることとなり戦局には余り影響しなかった。
- 巨神兵誕生(2700年)
開祖の予言した2700年になっても巨神兵降臨の気配は微塵もなく、浄土教の信者の中に動揺が広がり出す。
教祖や教団幹部は予言など信じてはいなかったが、教団の崩壊を恐れて巨神兵を自ら作り出そうと計画。
開発/製造を東亜工廠に指示した。
東亜工廠はおそらく最終兵器になるであろう最新型歩行改プ砲として、オーストラリアの空間歪曲エンジンを搭載した飛行タイプの開発に成功していたため、それを転用することを決定する。
そして、破壊と再生と調停の神という名目から、人型/人間並みの知能/テレパシー能力/戦闘行為の調停本能というスペックが定められ量産が開始される。
- 火の七日間(2700年)
同年12月31日、予言の年が終わろうと言う時、ついに浄土教教祖である小原阿闍梨は数万体という巨神兵を覚醒させる。
阿闍梨や教団幹部は世界各地の教団支部で起動ユニットを手にとって巨神兵を覚醒させ、全てに名を与えた。
巨神兵は名(個体識別番号の役目を果たす)を得たことを契機として、内蔵されたバイオコンピュータが起動し、調停者としての本能を覚醒させて活動を開始する。
各国の軍隊と激しい戦闘が繰り広げられた。
教団は、巨神兵の圧倒的な破壊力の前に全ての軍隊は降伏すると目論んでいたが、終わり無き戦いを続けてきた各国は無謀にも全力で抵抗を開始。
既に教団にも止めることは叶わず、7日間の大戦闘が世界各地で繰り広げられて巨神兵も各国の軍隊もほぼ壊滅。
地球は荒野と化し、一握りの生存者が残るだけとなった。
- 大津波(新暦2年)
巨神兵との大戦闘は莫大なエネルギーを短期間で消費し、ただでさえ温暖化の進んでいた地球の気温を爆発的に上昇させた。
南極大陸では解けた氷河が火の七日間で出来た巨大クレーター群に溜まっていたが、この年その湖が連続的に崩落。
大津波が地球全土を襲い、唯一戦前のまま生き残っていた日本及びその周辺では大半の都市が海中に没し滅亡する。
- 腐海誕生(6年)
巨大な地下シェルターによって、唯一政府及び軍部の一部が生き残ったアメリカでは、いち早く復興を果たしてこの機に乗じて世界全体を統治することを計画。
巨神兵との戦闘で汚染に適応した生物すら生存できないほどまでに汚染された自国土を浄化することを第一目標に据える。
そして、その方策として菌類/シダ類を元に遺伝子操作で作り上げた植物が開発される。
しかし、当初の計画では地表近くの汚染物質を取り込んで結晶化するだけの無害な植物となるはずだったこの植物が、突然変異して巨大化する。
更に、巨大化によって地下深くまで根を張ったため、汚染物質を当初の計画よりも多く取り込むようになり、その結果として汚染物質の一部を空中に放出するようになってしまう。
これが腐海の誕生である。
なお、大気よりも高濃度に汚染された土壌や地下水の汚染物質が一部ながら放出されるようになったため、大気の汚染濃度は耐性寄生体(ミトコンドリアと融合しているが)を備えた生物でも生存不能なまでに高まり、生き残っていた国民も大半が死亡する結果となってしまった。
- アメリカ政府アラスカに避難(7年)
アメリカ政府は何度か腐海を焼き払おうと努力するが既に残された人員も装備も局限されており、小規模に居住可能な土地を確保する程度が精一杯だった。
そこで、生き残った国民と軍隊を引き連れてアラスカの巨大地下シェルターに避難する。
しかし、食料も水もエネルギーも限られた状態で長期間にわたって生存していくことは不可能であった。
さらに、他の大陸には依然として小規模ながら生き残った人々が武装して生活圏を確保していたため、移住することも容易ではなかった。
そのため、遺伝子操作技術と電青素/反物質カプセル(粒子状のカプセルに反物質を密閉し緩やかな質量崩壊を起こすことによって微電流を生成するもの)から不老不死の肉体を作り出す。
更に、遺伝子操作を施していない(かつ耐性寄生体も注入していない)人間や動植物の遺伝子を後世に残すことを目的として巨大な生物要塞も作り出す。
この生物要塞は反物質炉を動力として電青素によって生命体を維持し、かつ自己防衛のために改プ砲も装備している。
そしてこれらの生物要塞は大統領を初めとする政府/軍部/学識者などの要人の脳を納めることとなる。
- 北アメリカガーディアンの誕生(39年)
北アメリカを一気に飲み込んだ腐海は海中にまで広がっていったが、この頃になると火の七日間で上昇した気温がようやく沈静化し、その結果腐海植物の繁殖速度は劇的に小さくなる。
南アメリカなどに生き残った人々は新天地を探して北アメリカ大陸にもやってくるようになっていたが、腐海植物の繁殖速度が低下してきたことから腐海を焼き払って定住を開始する人々も現れる。
アメリカ政府はこのまま国土を失う懸念から、残された昆虫兵器を電青素と反物質カプセルで改良し更に腐海の瘴気外では生きられないようにして、侵入者から国土を守るガーディアンとして解き放つ。
- 蟲の誕生(81年)
北アメリカのガーディアンとして活動していた昆虫兵器は元々自然繁殖を抑制するためにオスだけで構成されていたが、元になった遺伝子の作用で性転換をする個体が現れる。
初期段階では卵を産んでも反物質カプセルが遺伝しないために孵化しても成長できず子孫は残らなかったが、ある時突然変異で消化吸収機能が復活する個体が現れる。
この特徴は他の昆虫兵器にも伝播(おそらくウィルス媒介であると考えられる)して腐海は昆虫兵器から進化した「蟲」で埋め尽くされることとなる。
- ニッポン建国(91年)
大津波で日本は滅びたが、生き残った浄土教の幹部や外国支部の幹部は再び熱心な布教活動を展開していた。
実際、予想以上の惨事にはなったが、予言通りに「破壊と調停の神」は降臨したことになり、再生と浄化という希望から生き残りの人間達の間で信者はかなりの広がりを見せる。
そして、この年開祖の血を引くとするものが現れ、水の引いた日本列島を巨神兵誕生の聖地とし、さらに富士山頂の巨大改プ砲を「神の雷」という神器として新たな教団を結成する。
同時に教団はニッポンとして国家を名乗るようになり、教祖は国王を兼ねることとなる。
- 腐海作戦(92年)
ニッポンの建国に脅威を抱いたアメリカ政府は世界に腐海を広げてアメリカ再生の時までに現存人類を殲滅する作戦を計画する。
そして、この年その作戦が実行に移され、腐海植物の胞子と蟲の幼生を詰め込んだ航空機は世界各地に腐海と蟲をばらまいた。
更に、腐海によって地上の浄化が完了した暁にはアメリカ人が世界を席巻できるように、遺伝子バンクとしての生物要塞を世界各地に分散させることを決定し実行される。
- 恒星間調査船帰還(137年)
バーナード星系から通常航法で地球に向かっていた恒星間調査船第2号だったが、途中でエンジントラブルに遭遇。
更に地球からの連絡が途絶する中、何とか地球への帰還を果たす。
しかし、地上とは全く連絡が取れず、軌道上から見る地球は荒野と化していたため、しばらく様子を見ることが決定される。
- エフタル建国(158年)
地上との連絡はいつまで経っても取ることができず、また軌道上からの観測では人間の生活痕跡がごく少数しか確認できないことから世界の破滅を悟った調査船の搭乗員はシャトルで祖国ロシアへの降下を試みる。
しかし、ロシアはほぼ全土が腐海に覆われており、着陸隊は瘴気と蟲の攻撃で全滅する。
そこで、旧ロシアの勢力圏で腐海に覆われていない地域のなかから乗組員にもなじみ深い旧バイコヌール宇宙基地周辺に搭乗員を全員降下させた。
彼らはその地にキャンプを張り、周辺探査を行った結果、生存者からことの顛末(といっても既に伝承と化していたが)を聞き、自ら建国することを決意。
名称は古代この地に栄えたとされる国の名を取ってエフタルとする。
- エフタル繁栄(291年〜603年)
地上の汚染のために当初は衰退の一途を辿ったエフタルであったが、地元の生存者達と交わることによって、子孫は汚染耐性を身につけ290年頃には人口も大分増えてきていた。
そして、291年には軌道上に残してきた調査母船を遠隔操作で海岸(といっても外洋ではなく内海)に落下させることに成功。
母船の機器を使用して周囲の多国を凌駕する文明国家を築く。
また、戦前の兵器の残骸なども掘り出して航空機を建造することで広く行動することが可能となり、各地に点在する国家と貿易を行うようになる。
- 土鬼帝国建国(501年)
さらなる気温の低下によって腐海の浸食は当初の計画より大分遅く、エフタルは戦前の科学力で腐海を焼き払う可能性を秘めていた。
そのためエフタル近くにあったアメリカの生物要塞は、エフタルの存在を脅威と見なし始め、エフタル滅亡を画策し始める。
しかし、生物要塞は自己防衛のために改プ砲を装備してはいたが、射程はあくまで地平線までで、自ら行動を起こすこともアメリカ政府と連絡を取ることもできなかったため、周辺に細々と集落を築いていたアジア−イスラム系の住民にテレパシーを使って呼びかけ一人の男をその内に招き入れる。
そして、彼に禁断の知識を与える代わりにエフタルを滅ぼすよう求めた。
(真意は互角の力を与えて終わり無き戦争を起こし、お互い滅亡させること)
要塞はシュワの墓所と呼ばれ、男は墓所から得た知識を元にして土鬼帝国を建国する。
- 土鬼−エフタル戦争勃発(603年)
土鬼皇帝は墓所の知識を研究し具現化するために「教団」と言う組織を作り墓所内で研究を行わせる。
その結果、教団及び土鬼皇帝は不死の肉体を手に入れ、反重力エンジンなどから強力な兵器(航空機)も作り出す。
そして、ついにエフタルに戦争を仕掛ける。
- 大海嘯及びエフタルの滅亡(778年)
土鬼との戦争は100年を越える膠着状態となり、エフタルは強力な兵器を探し求めていた。
そんなとき腐海で王蟲の抜け殻が発見され、強度も柔軟性も併せ持つすばらしい材質であることが解る。
王蟲も腹部は甲羅がかなり薄く、地雷を踏ませれば即死させることが出来、また即死した場合は仲間を呼ばないことに気付いたエフタルは、その方法で王蟲を狩りまくり強力な兵器や鎧/刀などを量産していった。
しかし、王蟲達は徐々にこの様子に気づき、ある時大挙してエフタルを襲う。
後に大海嘯(この時代のこの地域では海と言えば腐海か内海で内海は溢れないため海嘯という言葉は腐海が溢れることとされた)と呼ばれるこの王蟲の大暴走でエフタルは壊滅し、その大部分は王蟲の運んだ胞子で腐海に没することとなる。
- 南米難民北米進出(913年)
南米大陸で腐海の進出によって土地を追われた人々は難民となって北米大陸に進出し、大陸中央に出来た浄化(腐海植物による浄化)された土地を発見する。
だが中心部は清浄な空気のために生存不可能であったため、試行錯誤の後外輪部で未だ腐海の瘴気が残る地域に定住を始める。
- 土鬼諸侯国建国(947年)
エフタル滅亡後、土鬼帝国は腐海で遮られたタリア川流域まで勢力を広げるが、エフタルの生き残り勢力は想像以上に強力で、腐海を越えての侵攻は膠着状態となる。
勢力を広げられないまま、王を含む土鬼帝国の幹部は住民から重税を強いて私腹を肥やしていたため、住民の不満は募っていた。
このような背景を元にある男がヒドラを引き連れて内戦を開始。
住民はこぞって彼に協力し、ついにこの年シュワが陥落。
男は神聖皇帝を名乗り、土鬼諸侯国を建国する。
なお、神聖皇帝は前王と同じく墓所と契約する。
- トルメキア帝国建国(949年)
エフタル辺境にありエフタル建国の前からこの地に住み着いていた部族は衰退の一途を辿っているエフタル生き残りを勢力下に従えてトルメキア帝国を建国。
トルメキアはエフタルの技術を受け継いで航空機の生産を主産業とする。
- 第1次トルメキア−土鬼戦争(950年)
内戦直後で混乱していた土鬼に対しトルメキアは腐海を越えて侵攻。
領土を広げる。
しかし、土鬼が体勢を立て直したためにシル河まで後退を余儀なくされ、戦局は膠着。
内戦の混乱を早く収束させたい土鬼側の譲歩によりシル河を国境とすることで停戦合意。
- ニッポン−合衆国衝突(982年)
それまで主にユーラシア大陸南東部/東部を勢力圏としていたニッポンであったが、腐海の広がりによって居住可能地域が狭まりユーラシア大陸北東部を経由してアラスカに進出。
その結果、アメリカ軍と遭遇し戦闘となる。
当初は圧倒的性能を持ったアメリカ軍兵器に押されて後退したニッポンだが、アメリカ側は人員と装備の決定的不足、また北米での緑の国建国の影響から十分な追撃が出来ず、ベーリング海峡を挟んで膠着状態となる。
- 緑の国建国(984年)
北米大陸の清浄な地外縁で細々と暮らしていた南米からの難民は、自然と清浄な大気への耐性を持つ者を輩出し始めていた。
そして、そういった者と遠く海を渡ってアジアから来た人との間に「全ての生物と心を通わせる」ことの出来る特殊能力を持った子供が生まれる。
その子供は成長し、この年に清浄な地の中心部にある生物要塞と心を通わせ、その協力を得て緑の国を建国する。
- 緑の国−合衆国衝突(991年)
緑の国の存在はアメリカの知るところとなり、彼らを侵略者ととらえたアメリカは緑の国中心部の北米大陸生物要塞周辺を大編隊で攻撃する。
しかし生物要塞が協力している緑の国は要塞の改プ砲でこれを撃退。
ニッポンとも戦局を抱えているアメリカは散発的な侵攻しか出来ず、そうこうしている間に緑の国は自衛のためにアメリカの侵攻に耐えうる武力を身につけたため、アメリカも手出しが出来なくなり事実上黙認状態となる。
- 初代神聖皇帝死去(997年)
肉体の移植手術に失敗し初代神聖皇帝が死去。
残されたのは息子2人(ナムリス/ミラルパ)であったが、読心術などの特殊能力に長けた弟ミラルパが結局神聖皇帝を継ぐこととなる。
- ヴ王即位(1024年)
前王を毒殺しヴ公がトルメキア王として即位する。
なお、ヴ公は王族の血筋ではあったが、彼を正当な後継者ではないと見なす勢力も多かったため前王の娘を后として娶る。
- 巨神兵の発見(1048年)
ペジテ市の地下坑道で未使用の巨神兵が発見される。
- トルメキア戦役勃発(1049年)
第三軍(クシャナの率いる軍)によるペジテ侵攻の後、トルメキア軍が土鬼領内に電撃的な侵攻を開始する。
- 大海嘯(1049年)
土鬼軍が起死回生のために兵器として開発した粘菌が暴走し大海嘯を誘発。
トルメキア軍もほぼ壊滅するものの土鬼国土も大半が腐海に没する。
- 巨神兵復活(1049年)
土鬼によって巨神兵が復活する。
- シュワの墓所破壊(1049年)
ナウシカ及び巨神兵によってシュワの墓所が破壊される。
トルメキア戦役の終了は大海嘯やヴ王のシュワ入城で終了とする意見もあるが、一般的にはこの時点で終了と見なす場合が多い。
なお、巨神兵も同時に死亡。
- 新生土鬼諸侯国誕生(1050年)
ナウシカを後見人として土王の血を引くチククが土鬼皇帝となり新生土鬼諸侯国を宣言。
シュワに居城を築き土鬼の再建を開始する。
- トルメキア共和国成立(1052年)
クシャナはトルメキアの身分制度を廃止し議会を制定。
トルメキアは帝国から共和国へと転換する。
- 風の谷がトルメキア信託統治領となる(1053年)
族長不在が続いた風の谷はナウシカの意見もありトルメキアの信託統治領となる。
- 現在(1055年)