Re:「インターネット哲学」 2002/05/08号 ★★★★★★ はじめに(新規登録の皆様へ) ★★★★★★  皆様始めまして。b_51と申します。  このマガジンは諸野脇正氏のメールマガジン「インターネット哲学【ネット社会 の謎を解く】」(マガジンID:0000075412、 登録アドレス:http://www.mag2.com/m/0000075412.htm)への返信という形態を採っ て氏の意見に対する個人的な見解などを書いて行きたいと思います。 一応引用の形である程度氏のマガジンの文章は含めますが、大規模に引用しても見 づらくなるだけですので最低限の引用しか行いません。 ですから、基本的には前記のマガジンも購読している方を対象とします。 と言うことで先に本マガジンを知った方は諸野脇正氏の「インターネット哲学」も ご購読してくださるようお願いいたします。  それから発行周期は基本的に元になる「インターネット哲学」に準じますが、特 に意見がない場合や私の個人的事情(本業が忙しいなど)によっては複数の号にま とめて意見する場合もあるでしょうし飛ぶ場合もあると思いますので、不定期発行 であることをあらかじめご了承下さい。  なお、このメルマガの内容は非営利目的(有料媒体でもそれが利益を上げること を目的としていないもの−例えば印刷や配布の手数料のみで販売しているようなも のは非営利と見なします)なら基本的に転載自由ですが、転載する際には記事の出 典を明確にしてください。 (このマガジンでの引用形態のような感じなら全く問題無しです) 営利目的の場合はケースバイケースですので必ず事前に連絡下さい。  最後にわざわざ断らなくてもお分かりだとは思いますが、このマガジンはあくま で私b_51が勝手に発行しているものですので、諸野脇正氏とは直接関係ありません。 ですので氏にこのマガジンについての問い合わせなどを送ることはおやめ下さい。 ※本マガジンの登録解除方法と私の連絡先などは最後に書いてあります。 ★★★Re:リンクに許可は必要か 1★★★ #このブロックで引用マーク(>)が行頭に付いている部分は特にことわりがない限 #りメルマガ「インターネット哲学」からの引用です 今回はi哲学30号(2002/04/29)の『リンクに許可は必要か 1』に関しての意見を お送りいたします。 > 「犯罪じゃない、取る国が泥棒」・「払っているあんたのほうがアホ」、心を >打つ言葉である。 > 西原氏は「ならず者」漫画家である。ここでの「ならず者」は褒め言葉である。 >〈自分の信ずることを常識にとらわれずおこなう者〉というような意味である。  ちょっと本題から外れてしまいますがこの部分について一言。 (私自身は西原氏の作品などは読んでいませんし、この対談も全文を読んでいませ ん。あくまで「この部分での西原氏の意見」に対する反論であることをご承知おき 下さい)  前にコラムの方で「自動車を馬と解釈する」ということに関して述べたことと基 本は同じなのですが、西原氏のこの姿勢はかなり不条理です。 まあ確かに「自分の信ずることを常識に捕らわれず行う者」ではあるでしょうが、 肝心の『信ずること』に対する考慮があまりにも足りなさすぎです。 確かに現在の政治家達には自分の生活を任せられないと言う点は理解できますが、 だからといって納税拒否というのはあまりにも単純です。 宴会に例えるなら、幹事の決めた店が気に入らないと言って参加しておきながら会 費を払わないのと一緒です。 本当に日本国政府の一切の援助を拒否するのなら船でも買って公海上に住むなり外 国に移住するなりすべきです。 宴会の例で言えば「そもそも参加しない」という選択肢ですね。  実際にそうしていないのには「そうできない」理由があるからでしょう。 理由には色々あるでしょうが、例えば今の漫画家としての仕事が日本にいなければ 上手くこなせないからでしょう。 まあ宴会の例で言えば、つき合いで参加しないわけにも行かないという状況でしょ うかね。 そして、日本に生活しているならば当然のように、道路や紙幣なども利用するでしょ うし、警察力等に守られた治安も享受しているわけです。 ならば法律で決められている納税の義務には従わねばなりません。  それがどうしてもイヤならば、法律を変えるという方向に尽力すべきです。 自分が選挙で立候補するなり、市民運動を展開するなり、方法は色々あります。 先ほどの宴会の例で言えば、幹事にもっと良いお店を紹介するとか、自分が幹事を やるとかしましょうということです。  以上、脱線してしまいましたが、以降本題です。 > 無断で張るのが正しいマナーである。許可を求めずに張るのが正しいマナーで >ある。  諸野脇氏が結論から述べておられるので、流れに沿って私も結論を先に言いましょ う。 「無断でリンクを貼ることも許可を貰うことも間違っていない」と私は思います。 つまり、現状のように無断で貼る人もいれば、律儀に許可を求める人もいる。 それで良いのではないかと言うことです。 > ホームページの作者は、多くの人に見てもらいたいと願っているのか。 > それとも、そう願っていないのか。 > これは容易に想像できる。多くの人に見てもらいたいと願っているのである。   ・   ・   ・ > そう願っていないならば、普通、ホームページを公開しない。別の形式を選ぶ。  一般論としてのこのご意見には異存ありません。 > あるページから、あるページへリンクを張る。リンクをクリックすると、リン >ク先のページが表示される。ページそのものが表示される。 > つまり、リンク元からリンク先へ読者が移動したのだ。言いかえれば、リンク >先のホームページの読者が増えたのである。 > これは、まさしくホームページの作者が望んでいることである。リンクは、ホ >ームページの作者が望んでいる状態の実現を助けている。  この部分は、多くの場合仰るとおりだと思います。 ただ、小数とは言えけして無視できない程度は、「そう言い切れない場合」もでて きます。  まず、基本的な考え方として、リンクを設置するということはリンク先ページの 「紹介」にあたると思います。 例えば、ある本で別の本のことを「いい本なのでこちらも読んでみて下さい」等と 紹介するのと同じだと言うことです。 一部のサイトでは「リンクは紹介や引用ではない」などとして、「勝手にリンクを 貼ることは著作権の侵害だ」などと主張しているページもありますが、これは著作 権法の拡大解釈だと思います。 ですから、法的には無断でリンクを貼ることに何ら問題はないと思います。  また、常識的に考えてもこれは同じことですので、マナーという点からしても別 に問題というほどではないとも思います。 (例えば学級新聞で書籍の書評を載せるとして、出版社や著者に許可を求めること はまず無いのと同じことです)  ですが、印刷物などでのいわゆる「紹介」と、Webでの「リンク」には決定的に 異なる部分が存在するのも事実です。 それは、読者が「別のページ(と言うかこの場合“サイト”と表現した方が適切で しょうか)に移動したと言うことを確実に認識できるとは限らない」ということで す。  Webページはリンクで成り立っているのは諸野脇氏自身も仰っている通りです。 書籍などの場合、1冊の書籍内での移動ならページをめくるだけですが、紹介され た別の本を読む場合は別の本を(購入するなどしてきて)手に取るという行為が伴 います。 ですから、他の著作物を自分の本の中にまる写ししない限りは読者はそれぞれ別の 本であることが容易に認識できます。  しかし、Webでは本で言うページの移動にもリンクが使われていますし、別の本 の紹介にあたる別サイトの紹介にもリンクが使われています。 読者側からすればどちらもリンクをクリックするという同じ行為ですので、リンク の書き方次第ではそれが別サイトの記事なのか、同一サイトの記事なのかは解りづ らいのです。 特にフレームを使って一部のフレームだけ別サイトの記事を表示するようなことを やれば、大半の読者は同一サイトの記事だと思ってしまうでしょう。  このような特徴を理解した上でちょっと考えてみてください。 例えば、自分のサイトそっくりなページ構成のアダルトサイトから、まるで自分の サイトがそのアダルトサイトの一部であるかのような形でリンクを貼られたらどう でしょう? 自動車好きの人がエンジンなどの詳しい解説をしたページを作ったとして、暴走族 のサイト(そんな物があるかどうかは別として)から「改造方法の参考はここをヨ ロシク!」等とリンクを貼られたらどうでしょうか? いやがる人がいても不思議ではありません。  他にも、カウンターや広告バナーの関係からトップページ以外への直接リンクを 嫌う人は結構いたりしますね。 > 具体的に考えてみよう。次のようなメールをもらったとする。 > 「リンクの許可をいただけますでしょうか。」 > このようなメールをもらったら、ホームページの作者の多くは許可するかどう >かを考えるであろう。(本当はそう考えてはいけないのだが。)緊張するであろ >う。今までの人生で、許可を与えたことなどあまりないからである。許可を与え >たら、〈何か責任が生じるのではないか〉などと考える。(実は、この心配は正 >しい。この論点は後で詳しく論ずる。)相手側のホームページを見に行く。思い >悩む。そして、返事のメールを書く。大変、労力を使う。  諸野脇氏が“含み”(責任に関して)を残しておられるので的はずれになるかも しれませんが、とりあえず現時点で書かれている意見だけを元にして反論しておき ます。  このような作業は諸野脇氏が仰るほど「無駄な労力」ではないと思います。 とりあえず、どこからリンクされているかを“別に気にしない人”は考えることも なく許可を出すでしょうし、きちんと確かめて考えたりするるのは“気にする人” でしょう。 特に考えることも調べることもなければ、「良いですよ」という返事を送るだけで すからトラフィックにもさしたる影響はありませんし、それほどの手間でもありま せん。 逆に気にする人はそもそも自分の感知しないところでリンクを貼られたくないので すから、この作業は無駄ではありません。  もちろんこの考え方は、それほどリンク許可願いが殺到しないような場合でない と成り立ちません。 (一日で何千通も来たら「良いですよ」と返信するだけでもかなりの労力ですから)  とはいえ、ほとんどのケースでは多くても1日数通が限度でしょうから、まず問 題はないと思います。 (企業や有名人のページならまた話は違ってくるでしょうけどね) 対処しきれないほどのメールが来るようならトップページにその辺のスタンスでも 説明すれば良いでしょうし。 > それに対して、例えば、次のようなメールをもらったらどうであろうか。 > 「リンクを張らせていただきました。ありがとうございました。」  とりあえず上のように反論はしましたが、私も個人的にはこの程度が一番良いの ではないかと思っております。 もちろんページ中に「リンクの際には必ず事前に連絡下さい」等と書いてある場合 は別ですが、そうでなければマナーという範囲としてはこれで充分だと思います。 (企業などのページならこのような事後報告も不要でしょうがね)  それから、今回のコラムで敬語の話を取り上げているように、既に文化として定 着している場合、いくら非合理だからと言って、急にそれをやめるというのは良く ないと言う面もあります。 こちらは「敬語で話す」を「リンク許可を貰う」に置き換えてコラムを読んでいた だければ大体理解していただけるかと思います。  と言うことで、現時点での私の意見をまとめます。 ・無断リンク禁止というスタンスは間違っている  (「リンクを貼る前に御一報下さい」という“お願い”ならOK) ・個人ページに対してリンク許可をお願いすること自体は別段間違いではない ・ただ、特に何か明記していない場合は「リンク貼りました」の事後連絡で充分 と言う考えです。  あとは、諸野脇氏の続編が配信されてからにしましょう。 ★★★★★★コラム★★★★★★  ここには基本的にメルマガ「インターネット哲学」とは関係のない私自身の思い ついた哲学的/政治的なネタを書いて行きます。 ☆敬語は必要か?  今回は「敬語」についてです。 敬語の中にも尊敬語や丁寧語など種類はありますが全てについてです。 基本的なスタンスですが「合理性」という観点から検証します。 こういうと「敬語が合理的なわけがない」と思われるかもしれませんが深く考えれ ばそれなりに合理的な面も以外とあるんです。  ということで、本題に入ります。 まず、合理的に考えて敬語自体が社会生活にとって必要かどうかですが、これはど う考えても「不要」でしょう。 英語などには敬語というような言葉は特にありませんが(丁寧な言葉遣いとかいう 程度のものですね)別段問題なく社会は動いていますからね。  しかし、その反面「日本社会にとって現状では常識である」という点もあります。 これが何を意味するかというと、「敬語を使わないと相手を不快にさせる可能性が 高い」ということです。 もちろん、TPOによりますが、相手が目上の人間であるとか初対面の人間である とかの場合はこのような状況にあります。 こういう状況下では「自分が敬語を使わない」と言うことは「自分の評価が不当に 低くなる」と言うことに繋がる可能性が高く、これは合理的に考えて避けるべき事 態です。  こういった考えは「長い物には巻かれろ」とか「朱に交われば赤くなる」と言う ような感じで合理的ではないと考える人もいるでしょうが、必ずしもそうではない と私は考えます。  もう少し突っ込んで考えると、「なぜ敬語を使わないと相手を不快にさせるのか」 という疑問もあります。 この点は「敬語を社会常識と教えられて育ったから」「文化的側面を重視する人が いるから」などが考えられます。 このような人にとっては部下や後輩が自分に敬語を使わない場合、「俺のことを軽 視している」とか「日本文化を軽視している」と直感的に感じる訳です。 そして、この辺の感情というのは育った環境などによって決まってしまっています ので、直ぐに変えると言うことは事実上不可能です。  では、まとめましょう。 まず、敬語は「基本的に必要ない物」ですから基本的には廃れていく方向でOKで しょう。(文化的に保存したい方は俳句や和歌のように「敬語の会」でも作れば宜 しいでしょう) しかし、現在の日本社会では、「事実上常識化していて」「敬語を使わないと非常 識だと見なされ」「自分にとっても不利益となる」という状況です。  では、どうすれば良いのでしょうか? それぞれの要因を個別に考えていけば解ると思いますが、これらの点を全て解決す る方法は存在します。 つまり、自分が誰かに話しかける場合は「(気心の知れない相手に対しては)TPO に合わせて敬語を使っておく」。 逆に自分に誰かが話しかけてきた場合は「敬語を使わなかった(特に部下や後輩、 営業マンなど)というだけの理由で評価を下げるようなことはしない」「心情的に どうしてもイヤな場合は相手に言葉遣いに気を付けるようはっきり伝える」という くらいでしょうか。 ちなみに、最後の対処方法はあまりにもひどい言葉遣いの場合とか、どうしても言 葉遣いが気になってしまう人向けのいわば最終手段的対応ですので、基本的な対処 としては前の2つになります。  このようなことを多くの人が実践すれば非合理的な「敬語」と言うものは社会的 に無くなって行くでしょうし、そうなれば敬語を使わないからと言って不当に評価 を下げられるようなこともなくなるでしょう。  ちなみに、余談ですがこのメルマガは基本的に「ですます調」を使っています。 これは敬語(丁寧語)の一種でしょう。 なぜ、私がこういったスタイルを取っているのかというのは「返信」であって、そ の対象が不特定多数でしかも直接面識のない方々だからです。 この場合、上記の論理に照らしても(現在の日本社会では)敬語を使うべきでしょ う。 (コラムに関しては別に「返信」ではないので論文調でも良いのですが、出来るだ け親しみをもって気楽に読んで欲しいのと統一性を持たせたいのでこのようにして います) ★★★★★★あとがき★★★★★★  最後まで読んでいただいてありがとうございます。 今回はi哲学の方がGW中の発行だったため(そして私が出かけていたため)ちょっ と「返信」が遅れてしまいました。 いっそのこと遅れついでに諸野脇氏のご意見が完結してからにしようかとも思った のですがそれではちょっと間隔があきすぎてしまうと思ってこのタイミングでの発 行としました。 登録の解除は http://b-51.hp.infoseek.co.jp/magazine.html#philosophy の解除フォームを使うか http://www.mag2.com/ で本誌のID「0000087123」を検索して解除してください。 では、今後ともよろしくお願いいたします。 ************************************************************************** 発行者:b_51 発行システム:http://www.mag2.com/ マガジンID:0000087123 ご意見/ご感想などはお気軽に http://b-51.hp.infoseek.co.jp/ の「掲示板」か mailto:b_51_@anet.ne.jp へお願いします。 **************************************************************************