Re:「インターネット哲学」 2003/11/07号 ★★★★★★ご挨拶★★★★★★  みなさまこんにちは。  実は本日誕生日です^^ まあ、この年になると誕生日なんて別に嬉しくも何ともないのですがね。 と言うことで、今回はコラム二本立てで行きます。 #実は時事ネタで2つ書きたくなっただけなんですがね  ちなみに、新規購読の方は後ろの方にこのマガジンの性格や注意事項などをまと めてありますので必ず一度は目を通してくださいますよう、お願いいたします。 (中身は変わりませんので何度も読む必要はありません) ※本マガジンの登録解除方法と私の連絡先などは最後に書いてあります ★★★Re:GLAYが選挙を変えるかもしれないという話★★★ #このブロックで引用マーク(>)が行頭に付いている部分は特にことわりがない限 #りメルマガ「インターネット哲学」からの引用です 今回はi哲学45号(2003/11/07)の『GLAYが選挙を変えるかもしれないという話 −−選挙のインセンティブを分析する』に関しての意見をお送りいたします。  まず今回は氏の主張に真っ向から反対します。 まあ読んでいただければ解ると思いますが、こういったものは二面性があるので反対 と言っても結局は主観の問題にもなるのですがね。 > 選挙結果は、国民全体の意向を正確には反映していない。 > なぜか。一部の人だけが投票に行くからである。投票に行く人に特定の傾向が >あるからである。母集団が歪んでいるのである。 > 投票に行った人と国民全体とでは、違った傾向を持っている。  これは実際にその通りでしょう。 ではそれがいけないことなのでしょうか?  熱心に投票に行く人は、理由はどうあれ国政(都道府県政)に熱心なんです。 雨が降ったくらいで行かない人はその程度にしか政治への関心がないのです。 どちらの意見をより尊重すべきでしょうか? 私は前者の意見がより尊重されても良いと思いますよ。※1  それから、民主主義は良くも悪くも多数決が基本です。 利害の相反する人たちがいる場合、多数決はより多くの集団の意見を優先するとい う方法を採っています。 ですから、政治によって利益を受ける人が自分の利益になるような候補者を選ぼう とするのは全く当然の成り行きです。 例えばダム建設の是非と言うことで投票する場合、その工事で利益を得る土建屋の 社員が賛成を唱えるのはごく普通です。 それを止めたいと思う人が少なければ止まらないので正しいのです。※2 > 思考実験をしてみよう。例えば、投票を棄権した者から罰金を取ることにする >とどうなるか。みんな「熱心に」投票に行くようになる。罰金を取られたくない >からである。インセンティブが変わったのである。  投票を義務化して、違反者から罰金を取れば当然投票率は100%近くになると 思います。 しかし、嫌々投票に行く人は政治に関心がない可能性が高いのです。 つまり、自分の意見は持っていないか、もっていたとしても根拠に乏しく、誰かに 吹き込まれた意見である可能性が高くなります。  こういう人たちはマスコミに踊らされます。 メディアリテラシーという言葉は昨今騒がれていますが、TVだって新聞だって真 実は語っていません。 故意に虚偽の報道をしているという場合はさすがに少ないでしょうが、情報の取捨 選択を行う人間が介在すればそこで情報操作が多少なりとも入ってしまいます。 また、キャスターなどが自分の意見を語ったりすれば関心の薄い人ほどその意見に 無意識のうちに洗脳されてしまいます。  これは大変危険なことです。 まさに衆愚の道まっしぐらです。  氏に習って思考実験してみましょう。 投票に行かないと罰金が取られることになりました。 今までTVといえばバラエティーや音楽番組のみ、新聞はTV欄と4コマ漫画しか 読んでいなかった人も仕方なく投票に行きます。 彼(彼女)らは投票所に行って初めて候補者の名前を見ますし、政党といえば自民 党くらいしか知りません。 さて、誰に投票しましょうか? 芸能人の名前を見つければ、その人に投票するでしょうし、鉛筆を転がして決める かもしれません。 これで、まともな政治が出来るでしょうか? > カニが選挙を変えたのである。インセンティブを変えたのである。 > カニを食べたいというインセンティブのおかげで、本来は投票に行かない関心 >の薄い層が投票に行った。その結果、選挙結果が大きく変わった。  これも前記同様です。 関心の薄い人を物で釣って投票に来させても、そういった人は問題の本質を考えて いない可能性が高いわけです。 「どこそこの海岸を埋め立てて商業地区とレジャー施設を建設します。賛成ですか? 反対ですか?」 と聞かれて予備知識がなければ大多数の人は賛成するでしょう。  逆に「ただし、この開発を行うと絶滅危惧種のXX鳥の生息地が無くなってしま います」と入れたら結果は逆転するかもしれませんが、今度はこちらの情報に流さ れて開発による経済効果や生息地の代替処理などまで考えが及ばなくなる可能性が 高くなります。  もちろん、当日会場でパネルディスカッションやら講演やらを延々とやって、賛 成/反対双方の意見を隈無く聞いた上で判断するようにすればそれでも良いのです が、長時間に渡るそう言った物を前提とした投票では面倒になって途中で帰ってし まうとか、話はまともに聞かないで眠っているとかそう言う結果になることは目に 見えています。 > インターネット上で投票が出来るようになれば、インセンティブが変わる。自 >宅で簡単に投票できるようになれば、インセンティブが変わる。携帯電話から簡 >単に投票できるようになれば、インセンティブが変わる。今まで棄権していた人 >が投票するようになる。  結論から言うとここだけは賛成ではあります。 投票に「餌」や「罰」を付けるようなインセンティブには反対ですが、投票を楽に するだけなら多いに結構だと思います。 これらの決定的な違いは「興味のない人が参加するかどうか」です。 投票を楽にするだけなら、結局は多少でも興味を持った人しか投票しませんが、別 のインセンティブがあると、全く興味はないけどインセンティブ目当ての人が現れ ます。 そして、そこには決定的な違いが存在します。  ただ、ここにも大きな欠点が現状は潜んでいるのです。 デジタルデバイドという言葉は皆さん聞いたことがあるでしょう。 電子機器(主にPCやインターネット)を扱えるか否かで分断されてしまうという 状況のことです。 このデジタルデバイドを選挙にまで持ち込んでしまうとなると、現状ではやはり問 題があると言わざるを得ないでしょう。※3  もちろん、他にもセキュリティーの問題などもありますが、これは技術的な問題 ですのでまた違う話と言うことになるでしょう。 ※1  私は上記したような意見ですが、別の意見として「政治に関心がない人間も国民 であり納税者であるのだからその意見が採り入れられるべきである」という意見も あります。 つまり、政治に関心がない人にも解りやすいような目標を提示できるような候補者 や政党が選ばれるのも国のためであるということです。  私はこういったやり方では衆愚になることがほぼ確実だと思っております。 自分が賢いと言うわけではないですが、政治などに対して自分の意見を持っていな い人や、感情に流されて冷静な判断が出来ない人が多すぎると思っていますので。 ※2  これはあくまで例えの話であって、ダム建設に賛成しているわけではありません。 もちろん、全てのダム建設に無条件で反対もしません。 ※3  今まで通り投票所に出向いて筆記するという方法を残しておけば別にデジタルデ バイドを持ち込むってほどでもないかもしれません。 でも、携帯を含めればネット人口が半数に達している(実際にどうなのか解りませ んが一部の調査によれば60%というものもあります)とはいえ、世代間の格差は非常 に高いですし、ネット投票できる人の方が明らかに投票行為は楽になるのですから、 やはりある程度慎重にならざるを得ないでしょう。 ★★★★★★コラム★★★★★★  ここには基本的にメルマガ「インターネット哲学」とは関係のない、私自身の思 いついた哲学的/政治的/思想的なネタを書いて行きます。 ☆ぬるま湯の日本型会社組織 「楽しい日本の会社」にアンチテーゼを突きつけるデル http://blog.japan.cnet.com/umeda/archives/000812.html?tag=nl とういうCNETの記事を引き合いに出します。 なお、このブロックでの引用は全て上記記事からのものです。 >「仕事を通して遊ぶのは本当に楽しい。それも、特に毎日顔を合わせる連中との >「疑似家族的小宇宙」で、仕事と遊びが一体となり、しかも仕事がうまくいってい >る時の至福といったら何物にも代え難い。これが戦後日本のサラリーマン社会だっ >たのだ。」  私はこういった日本型の会社組織にはかなり違和感を感じます。 もちろん、気の合う仲間と和気あいあい仕事を出来ればそれは楽しいでしょう。 しかし、そう言う組織は得てして排他的になります。  つまり、気の合わないヤツは仲間はずれにします。 仕事なのですから、仲間はずれにされて仕事に支障が出るとその人は非常に困りま す。 ですから、仲間はずれにされないようにイヤでも仲間につきあいます。  これの典型的な例が、上司の誘いを断れずに飲みに言って延々愚痴を聞かされる とか言う物でしょうか。 他に、自分の仕事は終わっているけど周りのみんながまだ仕事しているからつき合 いで残業するとかいうのも似たようなものでしょう。  もちろん、家族経営とか友人同士(だけ)で始めた会社とかなら良いのですが、 普通の一般的な会社では上記のようなマイナス点が出てきてしまいます。  また、「仕事が楽しい」と家庭を省みなくなると言う点もあります。 それも遊びではなく仕事という大義名分がある分始末に負えません。 お父さんは毎日「楽しい」職場で遅くまで「楽しい」仕事に励んで、家ではお母さ んが子育てや家事を全てこなさなければならないと。 もちろん、こっちの方は両者(子供も含めて)に合意があるのなら別に良いのでし ょうが、それが当たり前だと思われると家庭のために仕事を早く切り上げる人が不 幸です。  もちろん、だからといって会社での新年会や忘年会が馬鹿げているとか、禁止し ろとは思いません。 そう言うのはあくまで行きたい人だけで勝手に行って下さいということです。 ☆精神の弱さ  前々からこれについては書こうと思っていたのですが、おそらく反感を憶える人 もかなり多いと思いますし、精神的なものは他人に理解できないという面があるた めに躊躇してきました。 しかし、この度の「大阪府河内長野市・少年少女による家族殺傷事件」を見て書く ことを決意しました。 参考記事:http://www.asahi.com/national/update/1104/003.html  まず、前もってお断りしておきますが、私自身は精神疾患などになったこともな くそう言った病気や病気に近い状況の方々の事は実感として理解できません。 色々と話を聞いたり、読んだりしてある程度知識としては理解しているつもりです が、こういうものはやはり第三者には理解できない部分が多分にあるとは思います。  そして、こういった状況を踏まえた上である程度否定的な内容を書きます。 場合によっては気分を害される方もいると思いますので、そう言った事はご承知の 上でお読み下さい。  まず、上で挙げた事件のことですが、犯人の男子学生は16歳の少女と交際して いたそうです。 そして、二人は自殺願望があり、特に少女の方はかなり精神的に弱い面があったと 言うことです。 度々リストカットなどの自傷行為を繰り返してもいたようです。 つまり、この二人(特に少女の方)は精神的にかなり「ヤバイ」状況だったと思わ れます。  で、これに対して何がいいたいかというと、「彼らは色々と精神的に追いつめら れていた可哀想な存在であり彼らも被害者なのだ」という風潮は「間違っている」 という事です。 もちろん、精神的にきつい状況だったというのは同情に値すると思いますが、誰だ って多かれ少なかれ精神的なストレスもあれば悩みも苦しみもあるものです。 それに負けて大それた犯罪を引き起こすなどと言うことには同情の余地はありませ ん。  営利目的で殺人を犯す人は平均レベルより強欲なのかもしれませんが、そこに同 情する人はいないでしょう? それと同じ事です。 結局は自分の苦しみを他人の苦しみにすり替えようとしただけのことなんです。  ここまで行かないまでも、最近は鬱病や躁鬱病、分裂病などに苦しんでいるとい う人も多いようです。 しかし、そう言った人の話を聞いてみると、大概は「そんなことが理由なのか?」 と言うのがほとんどです。 もちろん、最初に書いたようにこういったものは本人にしか解らない部分もあるの でしょうが、やはり結局は自分に問題があると思います。  傾向は大体以下のようなものですね。 ・自分はこんなに不幸なんだと他人や環境に責任転嫁している ・逆に自分自身を責めて自分がダメなヤツだと決めつけている ・それらの問題から逃げることしか考えていない(正面から向き合おうとしない) 最初の二つは相反するようですが、得てしてこの両方の傾向が見られる場合が多 いように思います。 その結果、相反する二つの気持ちがループして深みにはまり最後の逃げに入る。 逃げていると結局問題は解決しないから、そのまま同じ事の繰り返しとなるわけで す。  ですが、こういったループを構成できてしまうのは「逃げても何とかなる環境で ある」という事に尽きると思います。 例えば、戦時中いつ空から爆弾が降ってくるか解らない、食料も充分になく自ら行 動してかき集めないと餓死してしまう状態というのは精神的にかなりのストレスで しょう。 ですが、そのような状態で「鬱だ」とか言って引きこもっている人はどれくらいい たでしょうか? 想像でしかありませんが、こういう状況ではそんなこと言っていられず、生き残る ために必死でもがいていたと思います。  もちろん、これは極端な例ですが、現在は環境に恵まれて過ぎているのだと私は 思います。 鬱だと言って引きこもって仕事をしなくても、餓死してしまうなんて事はまず無い でしょう。 寧ろ、親などが腫れ物に触るように匿って、ネットなんかで自分に都合の良いぬる ま湯の世界にだけいることが出来てしまいます。 そして、時間だけは必要以上にある生活のなかで、将来に明るい希望も何も見いだ せないままグルグルとマイナスの思考ばかりを螺旋させて、思い詰めて自殺なんか に走ったりしてしまうのではないかと思います。  では、どうするべきなのか? まず、周囲の人間は過保護にしない(特に子供の頃)ことが第一の条件だと思いま す。 そして、本人は血反吐を吐いてでもなりふり構わず突き進む心構えを持つべきでし ょう。 大抵の人は自分にも責任があると思っていて、それが自分を責めると言う方向に向 かってしまいがちですが、自分の欠点は欠点として認識した上で、問題解決に努力 すべきだと思うのです。 ・自分の能力は人より劣っている  −そう思うのなら人より努力する/自分の長所を生かす仕事を探すなどの行動を ・なのに周りは理解してくれない、親切にしてくれない  −助けて欲しいならそのようにはっきり言う ・どうせ自分の事を本当に解ってくれる人なんていないんだ  −他人のことを本当に理解するなんて不可能 でも探せば気が合う人はいるはず ・本当の幸せなんて無いんだ  −自分が幸せだと思うことが幸せの定義 ・結局自分はなんのために生きているんだろう  −生き物は生きるために生きている 理由なんて無い 人間だって本質は同じ ★★★★★★新規登録の皆様へ★★★★★★  このマガジンは諸野脇正氏のメールマガジン「インターネット哲学【ネット社会 の謎を解く】」(マガジンID:0000075412、 登録アドレス:http://www.mag2.com/m/0000075412.htm)への返信という形態を採っ て氏の意見に対する個人的な見解などを書いて行きたいと思います。 一応引用の形である程度氏のマガジンの文章は含めますが、大規模に引用しても見 づらくなるだけですので最低限の引用しか行いません。 ですから、基本的には前記のマガジンも購読している方を対象とします。 と言うことで先に本マガジンを知った方は諸野脇正氏の「インターネット哲学」も ご購読してくださるようお願いいたします。  それから発行周期は基本的に元になる「インターネット哲学」に準じますが、特 に意見がない場合や私の個人的事情(本業が忙しいなど)によっては複数の号にま とめて意見する場合もあるでしょうし意見しない場合もあると思いますので、不定 期発行であることをあらかじめご了承下さい。  なお、このメルマガの内容は非営利目的(有料媒体でもそれが利益を上げること を目的としていないもの−例えば印刷や配布の手数料のみで販売しているようなも のは非営利と見なします)なら基本的に転載自由ですが、転載する際には記事の出 典を明確にしてください。 (このマガジンでの引用形態のような感じなら全く問題無しです) 営利目的の場合はケースバイケースですので必ず事前に連絡下さい。  最後にわざわざ断らなくてもお分かりだとは思いますが、このマガジンはあくま で私b_51が勝手に発行しているものですので、諸野脇正氏とは直接関係ありません。 ですので氏にこのマガジンについての問い合わせなどを送ることはおやめ下さい。 ★★★★★★あとがき★★★★★★  最後まで読んでいただいてありがとうございます。 また、諸野脇先生には度々紹介していただいて嬉しい限りです。 #それなのにちっとも購読者数が増えないのはひとえに文才のなさですかね… この場を借りてお礼を言わせていただきます。 登録の解除は http://b-51.hp.infoseek.co.jp/magazine.html#philosophy の解除フォームを使うか http://www.mag2.com/ で本誌のID「0000087123」を検索して解除してください。 では、今後ともよろしくお願いいたします。 ************************************************************************** 発行者:b_51 発行システム:http://www.mag2.com/ マガジンID:0000087123 ご意見/ご感想などはお気軽に http://b-51.hp.infoseek.co.jp/ の「掲示板」か mailto:b_51_@anet.ne.jp へお願いします。 **************************************************************************