ここでは日常生活上私が感じたり思ったりしたことなどを中心に他のページカテゴリーに含まれないような内容を不定期で掲載していきます。
2002/07/23 ファイルサイズが大きくなってきたのでファイルを分割しました。
古い記事は「2001年の記事」にジャンプします。
2002/12/12 ロクラクについて
実はすでに購入してから半年以上経過しているのですが、今まで忙しくて書けなかったインプレッションを掲載します。
2002/07/25 「千と千尋の神隠し」批評
ビデオ/DVDが発売されたのでようやく見ました。
と言うことで定番の批評/考察記事です。
2002/07/17 車の買い換えとカーナビ改造
車検を機に三菱RVR→トヨタノア+デュエットに買い換えましたので、車種選定あれこれとインプレッション、トヨタ純正カーナビの改造(走行中でもTVを見られるように)をお伝えします。
2002/05/21 バイオメトリクス認証は安全か?
近頃ゼラチンで作った偽物の指で指紋認証システムの7割近くを突破できるという研究が発表されましたのでこれを機にバイオメトリクス認証システムの誤った認識を正そうと思います。
2001/09/21 風の谷のナウシカ(原作)批評
最近ようやくナウシカの原作の方を読みましたので、例によって考察と感想です。
なお、原作を読んで映画版の批評記事にもコメントを新たに追加しました。
2001/08/24 ローン会社系のクレジットカード
ローン会社系の発効しているクレジットカードについての批評です。
2001/08/16 自動車のこれから
現状の自動車に対する改善提案、将来的な予想などです。
2001/08/14 富士サファリパーク
会社が夏休みだったので富士サファリパークに泊まり(園内キャンプ場宿泊)で行ってきました。
2001/07/25 ジブリアニメ考察
最近子供がジブリアニメにはまっていましてイヤと言うほど見させられています。
そのためスタジオジブリのアニメについての考察/感想などを書いてみようかと。
2001/07/25 量子と脳と超心理学
最近の学説で神経細胞は量子的にそれ単体でもある程度の思考能力があるかも知れないと言う物があるそうです。
その辺から超心理学的現象に関しての考察をしてみます。
2001/07/23 沖縄旅行
この前沖縄旅行に行ってきましたのでその辺について。
2001/07/05 開設以前のあれこれ
開設以前の出来事等について簡単にまとめてあります。
半年ほど前にオークションでHDDビデオレコーダのロクラク(標準)を購入しました。
その当時では(現在でもさほど変わっていませんが)PCにファイルを転送できるHDDレコーダというのはかなり限定されていて、実質的にIOデータのRec-Onかこれしかありませんでした。
他には東芝(だったと思う)のイーサネット搭載モデルがありましたが無線LAN標準装備などになっていて非常に高価だったのでこれは手が出ません。
だいたい、無線LANは要らないと言う人も多いでしょうに標準でついてしまっているってのがいただけませんよね。(これ無しでもっと安ければもっと売れるのに)
両方ともPCとの連携はUSB1.1(最近はUSB2.0のモデルがありますが当時はなかった)であとはコストパフォーマンス的に大差がなかったので、一番安いモデルが安価で出回っているロクラクにしました。
しかし、入札してから実はケーブルでファイル転送できなくても、DVD-RAMなどを搭載しているHDDビデオならPCへのファイル転送も問題なく出来ると言うことに気付いて、かなりそっちに心が動いていたんですが(当時の平均落札価格ぎりぎりで入札していたので落札できない可能性も多分にありましたし)結局落札できた(てしまった?)のでロクラクユーザとなりました。
では、そろそろ本題に移りましょう。
まず、メーカは株式会社日本デジタル家電(NYX)という聞いたこともないような会社です。
実際にはここもOEM販売で、製造は株式会社日本コンピュータのようです。(「ロクラク」の商標登録までここです)
日本デジタル家電がなぜNYXと略されるのかは疑問ですね。
で、本題のインプレッションですが、やはり標準の40GBだと少々容量不足の感が否めません。
まあ周一のドラマを予約録画して週末にすべてみてしまうくらいなら良いのでしょうが、映画やら子供のアニメやら再放送のデイリードラマやらを撮っていると(さらに悪いことに時間が無くて2〜3週間とたまって行くと)長時間モードでも直ぐにHDDが一杯になってしまいます。
ただ、保証が無くなるとは言え、普通のIDE-HDDと換装すれば簡単に容量アップは出来るようなので、そう考えれば最初から値段の高い上位モデルやRec-Onを買わなくても良いように思います。(中古で買うならば特に)
画質の方は高画質、標準画質ならTV放送を直で見ているのと私には(うちのTVでという前提もあり)区別が付かないほどのレベルです。
うるさい人は標準でも汚いとか言っていますが、直接比較をしないでそれぞれを単独で見て、ロクラクの画像かTV放送直かを当てられる人はほとんどいないのでは無いかと思います。
長時間モードになると、解像度を落としてしまうようで、こちらはかなり差が出ますね。
アニメなど輪郭のくっきりした画像だとギザギザに見えますし、ちょっとノイジーな放送だとノイズが際だってしまいます。
それから、たまにひどいブロックノイズが出ることがありますが、これはファームのバグなのか(バグは結構あって適宜修正ファームがアップされている)圧縮ノイズなのか良く解りません。
とはいえ、一度見たら消してしまうようなドラマ等ならこれで充分という感じで、そう言った物は長時間モードで録画しています。
それから、画質に関連してチューナの性能ですが、これははっきりって悪いです。
うちは近くの公団団地から集合アンテナの線が来ているので電波強度はそれなりに高いのですが、特定のチャンネルにノイズが乗ってしまうことがあります。
チャンネルの微調整である程度は良くなったのですが、それでも10チャンネルは画面左側に縦帯状のノイズが入ります。
おそらくこれはロクラク内部の回路から出るノイズを自分のチューナで拾ってしまうためでしょう。
次に操作体系ですが、こちらもどちらかと言えば悪い方です。
まず、メインメニューを呼び出す方法として、TVモード(チューナからスルーしてその時点での受信画像を映すモード)や編集モード(録画画像のサムネイル表示をしている状態でここから分割など各種編集処理が行える)からだと一旦記録画像モード(録画した画像を再生するモード)に切り替えないといけません。
それからメニュー項目の割り振りや、ボタン(画面上)の位置などもいまいち使い勝手が悪いですし(例えばファイルの削除は頻繁に使う機能なのにファイルを選択してからカーソルを最低でも2回動かさないと実行できない)、各種メニューは大半が個々の設定値を決定キー(リモコンのボタン)で決定した後、更にカーソルを実行ボタン(画面上)に合わせて決定しないといけないなど、使い勝手をあまり考えていないのは明白です。
まあ大手メーカーの製品でもいまいち操作性が悪いものは結構あったりしますが、大体はロクラクよりは良いと思います。
また、ロクラクのリモコンはTVが操作できないと言うのも痛いですね。
まあ数年前まではそれが普通だったんですが、最近のものになれてしまうとリモコンを複数手元に置いておくのはやはり邪魔に感じてしまいます。
また、操作体系にも関連しますが、分割/切り詰めで、実際に分割/切り詰めされる位置が指定位置より微妙にずれるというのがあります。
これはGOP(MPEGでは数コマを一つの単位として処理するようになっていてその単位がGOP)単位での処理となるため仕方ないとも言えるのですが、それならGOP単位でのコマ送り機能を付けて欲しいところです。
ちなみに、逆順コマ送り機能はないので、これも編集を行うにはマイナスです。
欲を言えばジョグダイヤルなんかがあると良いんですが、せめて逆順コマ送りは欲しいところです。
あとは、肝心のPCとの連係機能ですが、一言で言うとソフト(の作り)が貧弱で、更に標準モデルではわざわざ機能制限を課している(iEPG非対応、ロクラクをPCからコントロールできない等)など、かなりマイナス評価です。
ファイルフォーマットが一般的なMPEGファイル(MPEG2-PS)でない(ロクラクはMPEG2-TSに独自ヘッダ付与)のですが、一応一方通行の変換機能が搭載されてはいます。
ただ、ロクラクで撮ったものをPCで見るだけならこれで良いのですが、編集してまた書き戻してTVで見たいなどと言うことは不可能になってしまいます。
USB1.1の為に転送速度が遅いのもネックですが、その辺りは価格からして致し方ないと思えるものの、ソフトの作りの問題やわざわざ機能制限する辺りはいただけないですね。
他に結構大きな問題だと思われる点としては、予約録画中でもリモコン/本体の電源ボタンが有効である(つまり予約録画中に電源を切ってしまうことが容易に出来るので電源の切り忘れかと思って予約を止めてしまうことが起こったりします)とか、CMカット機能がないとか、ガイド表示をONにしていないと早送りなどの操作をしても何も表示がなされない(特にCM送りをしていて行きすぎて戻ったりしていると今巻き戻し中なのか早送り中なのかが解らなくなってしまいます)とか、時報等で時計を合わせる機能がないとかですかね。
他にも細かい点では色々あるので、以下に列挙します。(HDDビデオ全般に関するものも含んでます)
なお、悪い点は問題の深刻さ(修正の期待があるかどうかも含めて)順に書いてあります。
悪い点の方が数的には多くなりますが、総合評価としてこの値段ならまあ納得できるレベルだと思います。
同じような値段だとコジマで売っている大宇のHDレコーダくらいしか買えませんから、安価なHDDレコーダで一応PCとも連携できると考えれば意味のある存在だとは思います。
ただ、やはり機能はプアなので、本格的な利用を考えるのならばDVD-R/RAM等を搭載したHDDレコーダ(HDDを搭載したDVDレコーダとも言う)を選ぶとか、もうちょっとまともなPC連携機能付きHDDレコーダが出るのを待った方がいいかもしれません。
ちなみに、わざわざロクラクの上位モデルやRec-On、ロクラクIIとかを買うくらいなら私はDVD/HDDレコーダを買った方が良いと思いますね。
ロクラクIIの機能で6〜7万くらいなら良いのですがね。
ロクラクの存在意義としては、やはりエントリとしての標準モデルでしょうかね。
ビデオ/DVDが発売されたのでようやく見ました。(DVDプレーヤーは持っていないのでビデオの方です)
映画で見ようと思っていたのですが、混んでいて諦めてしまい(まあ子供が途中で飽きてしまうだろうと言う心配もありましたしね)結局この時期になってしまいました。
全体的な感想としては、かなり「良い」です。
ストーリー自体はたいしたこと無い(と言うかあらすじとしてまとめたら数行で収まってしまうくらいのストーリーですから)のですが、作品全体としては宮崎作品の中でもかなり上位に食い込みます。
ちなみに、私の評価としてストーリーだけを見れば
といった感じの順位(映画限定:上位4つ)ですが、作品全体の評価としては
といった感じ(とは言え、この4つはそれぞれ甲乙付けがたいと言う感じでほとんど同立首位って感じですが)になります。
その要因として、千と千尋は作品世界の雰囲気がとても良いです。
まあ、この辺は人によってかなり変わってくるでしょうが、その作品世界そのものに浸りきることが出来て、終わるときに「この世界がもっと続いて欲しい/その世界をもっと見ていたい」と率直に感じることの出来る作品は希です。
宮崎作品でこういう感じを受けるのはナウシカと千と千尋くらいですかね。
ちなみに余談になりますが、私個人としては「タイタニック」(レオナルド・デュカプリオ主演のヤツです)にもそんな感じを抱きました。
まあ、こちらは千と千尋などとはまた違う感じではありますけどね。(何故かは解りませんがタイタニックのあの感じはとても懐かしいような感じを受けるのです)
さて本題に戻りますが、千と千尋はストーリー展開が非常に巧妙でもあります。
大抵の作品は(非常に優秀な作品でも)どうしても展開上の切れ間というか谷間が出来ます。
ビデオで見ているときなどは、その谷間でとりあえず止めてトイレに行ったり、子供を寝かしつけて続きは明日にするなどしたりしますが、千と千尋ではそう言ったタイミングが無いんですね。(もちろんシーンの切れ目は沢山ありますが、それとは違う意味です)
かといって、物語が平坦で盛り上がりに欠けるかと言えばそんなこともなく(まあストーリーらしいストーリーが存在しないというのは一因としてあると思いますが)最初から最後まで一気に過ぎ去っていくという感じです。
良い点ばかりでも何なので悪い点も少し書いてきましょうか。
やはり一番気になるのは、声優ですね。
もうこれはジブリの伝統になってきていますが、声優に起用する芸能人がダメダメです。
まあ、湯婆婆(ユバーバ)役の夏木マリ、釜爺(カマジイ)役の菅原文太などは良いと思いますが、ハク役の入野自由とかお父さん役の内藤剛士とかは下手です。
特にお父さん役の内藤剛士はトトロのお父さん状態で、作中のキャラクターと声のイメージがまるで違いますからかなり違和感を感じました。
ちなみに、世間一般ではハク役の入野自由は上手いと言っている人が多い(上手いと言っている人が数人で下手と言っている人は見かけない)のですが、どうしても私には下手に聞こえます。
まあ、神様という設定ですからわざとなのかもしれませんが、台詞に感情がこもっていないと言う感じがしますし。(一番ハクの感情を感じることが出来るのが台詞のない最後の手を離すシーンであることは皮肉なものです)
逆にお母さん役の沢口靖子や、千尋役の柊瑠美などはけして上手くはないですが、まあ及第点をあげても良いかと私的には感じましたがね。(この二人に関してはああいうキャラクターなんだと思えるので)
簡単な総評としてはこんな感じになるのですが、定番の考察を書かねばなりません。
ですが、この作品は「異世界」を題材にしていますので余り背景/設定としての考察点は多くありません。(大概のことは「そう言う世界なんだから」ということで片づいてしまいますから)
ですので、今回は設定考察以外に作品自体の解釈などを書いて行きたいと思います。
萩野一家(千尋一家)は何故引っ越しをすることになったのか?
これは特に説明も何もされていないので色々想像できますが、いわゆる「都落ち」であるのだろうという解釈がかなり多いです。
つまり、リストラや左遷で田舎に引っ越してきたと言うわけですね。
しかし、そう言う想定だとしたら、お父さんがちょっとお気楽すぎでしょう。
金銭的には結構恵まれている状況のようですし。(車はアウディーですし、「お財布もカードも持っているんだから大丈夫」等と言う時点で所持金はけして少なくないでしょう)
まあ、楽観的な性格だという設定のようですので、そんなことは余り気にしていないと言うことかも知れませんが、どちらかというと「うきうき」しているような感じに見えますから、それはないんじゃないかと思えます。
と言うわけで私の考えとしては、田舎にようやくマイホームを購入したとか、独立開業することにしたとかそう言うところではないかと思います。
一つに絞るとしたら、「今までは大手ゼネコンに勤務していたが、一念発起して新しく開発されているニュータウン地域に工務店を開業。妻と娘は乗り気ではないが楽天的でワンマンな性格から反対を押し切って決定。ある程度強引に家族を連れて引っ越してきた」というのがしっくりくるかなと思います。
ちなみに、お母さんの方は雰囲気からして専業主婦と言うよりは働いていそうな感じがします。
ただ、夫に付いて田舎に来たところからして、自宅で仕事をしているのでしょうかね。(夫の決定に従って仕事を辞めるような性格には見えないので)
こちらも想定として絞るなら「フリーの建築デザイナーで仕事の関係で知り合った明夫(お父さん)と出来ちゃった結婚。今までは建築会社などから請け負ったデザインを自宅で仕上げていたが、夫の説得で新しく開業する工務店の専属デザイナーとして働くことになった」と言ったところでしょうかね。
お父さんの方と違ってどことなく不機嫌なのは、後悔の念が強いからでしょう。
出来ちゃった結婚だと考えたのは、お母さんの千尋にたいする態度が妙に冷たいところからして、どちらかというと子供をお荷物のように思っているのではないかと想像してのことです。
千尋の性格
千尋は現代っ子の象徴として「無気力で覇気がなく、後ろ向きな女の子」と言うような設定のようですが、作品を見る限りではそれほどのものなのか?と思ってしまいます。
今まで通っていた学校を転校しなければならず、友達とも別れるとしたらふてくされても仕方がないでしょうし、どことなく不気味なトンネルに入っていくのを嫌がるのもまあ不思議なことではないでしょう。
トトロのさつきやメイなら千尋とは異なる反応だったでしょうが、これは現代っ子の特徴というようなではなく、個人的な境遇や個性の問題でしょう。
それどころか、いくらハクから指示されていたとは言え、湯婆婆の執拗な脅しにめげずに「働きたい」と一心に申し出るたくましさや、石炭の重みに耐えきれずに潰れてしまったススワタリを助けたり、雨に打たれるカオナシを中に入れてあげる優しさなど、むしろ(現代の)普通の子供よりも性格は良いのではないかと思えるくらいです。
この辺の解釈は監督自らが「千尋は作品中で成長していない」等と言っているところかもそれなりに的を射ているのではないかと思います。
つまり、元々千尋はそれほど性格は悪くないし、無気力でも後ろ向きでも無いのです。
ただ、周りに感化されたり、環境的/状況的なものがあってふてくされ加減になっていただけなのでしょう。
それが、不思議空間での色々な経験で「本来の自分を取り戻した」ということ、簡潔に言えば「素直になれた」と言うことではないかと思います。
お母さんは何故千尋にあんなにも冷たいのか?
お母さん(悠子)は夫である明夫と話すときは普通なのに、千尋に対するときはかなり冷たく厳しい口調です。
表情とも連動していますので、別に声優(沢口靖子)が下手でそうなってしまっているというわけではなく、監督の指示でしょう。
ただ、千尋は別にお母さんを避けたり怖がったりしていませんから、常日頃からずっとこういう態度であるというわけではないのでしょう。(さすがに常日頃からこの態度だったらお母さんではなくお父さんにくっつくようになるでしょう)
上(引っ越しの理由)で挙げたような設定だとすれば、悠子自信も新生活に不安や後悔を感じていてどこかイライラしているのに、千尋はふてくされていてだらだらしているから少し千尋に対して怒っているということではないかと思います。
これは車の中での「今日は忙しいんだからシャンとしてよね」という台詞からも想像できます。
どこまでが現実世界なのか?
不思議な空間に入り込むときの経緯としては、舗装路→未舗装路の始まり(石の祠)→道ばたの石像→トンネル(門)→草原→干上がった川→階段→飲食店街となるわけで、飲食店街はもう完全に不思議空間ですし、舗装路は確実に現実空間でしょう。
ですから、境界はこの間になるわけですが、いまいちはっきりとは解りません。
それぞれ可能性を考えてみましょう。
と言うわけで私は干上がった川が境界の最有力候補だと思います。
とはいえ、境界と言っても明確に線があるようなものではないのでしょうから、トンネルの入り口から階段までが境界領域であるという見方が一番もっともらしいでしょうかね。
なぜ両親は食べ物を勝手に食べたのか?
これも諸説あるようですが(例えば夫のリストラで都落ちとなった夫婦は投げやりになっていてその場の欲求に逆らえなかったとか)私は単に性格だと思います。
おそらく両親は「お金さえ払えば何をしても大丈夫」と言う考え方の人なのでしょう。
作品的には現代社会の特徴を表しているのだと思います。
つまり、何事もお金ベースで考え(例えば慰謝料などその典型でしょう)、お金で表すことの出来ない価値が希薄化されているというような部分です。
「大事なものがすり替わった」ことにも気付かないで金勘定をしている湯婆婆でも同じようなメッセージを表していると思われます。
なぜ急に夜になったのか?
食事をむさぼり食う両親に呆れて橋のところに来た千尋がハクと出会うシーンでは、「じきに夜になる」というハクの言葉と共に、橋の欄干(らんかん)の影が急速に伸びて来て灯りが灯ります。
千尋達が結構長く滞在していて夜になってしまったというのではなく、おそらくこの不思議空間と現実世界とでは時間進行が大分異なるのでしょう。
これは、千尋達が現実世界に戻ったときに大分時間が経っていそうなところからも想像できます。
ただ、竜宮城のように単純に現実世界より時間の進行が遅いというだけならこのような現象は起きないので、ある種デジタル的に昼と夜が切り替わるような世界なのでしょう。
ちなみに、飲食店街の店主や客、歩行者などは暗くなると急に現れてきました。
ハクや油屋の従業員、神々などは明らかに昼間でも見えていますので、彼らとは異なる存在なのでしょう。
この辺は後の方でまとめます。
ハクの二面性
千尋が湯婆婆と契約した後、エレベータの中でのハクは妙に冷たく、千尋は困惑します。
なぜ、ハクはこのとき千尋に冷たく接したのでしょうか?
考えられる理由は二つあり、一つは「湯婆婆にコントロールされているから」と言うものです。
後になって解りますが、ハクは湯婆婆に呪い虫を入れられて操られていますので、湯婆婆の影響下に入っていたために千尋に冷たく接したと言うことです。
もう一つは、湯婆婆や他の従業員に自分が千尋を特別扱いしていることを悟られないためにわざと冷たく接したという理由です。
ただ、エレベータの閉鎖空間でのことですのでこれは少し違うかなと言う感じでしょうか。
釜爺が言うには「湯婆婆の弟子になってからどんどん顔色が悪くなって目つきばかりが鋭くなった」とのことですので、おそらく前者でしょう。
湯婆婆の影響下で操られている時とそうでないときで二面性を持っていると言うことだと思います。
湯婆婆は何故名前を奪うのか?
設定としては単に契約して相手を支配下におくため、元の世界への帰り道を封じるためと行ったところでしょうが、その意味としては色々あると思います。
名前というのは単にその人の呼称というだけではなく、アイデンティティーというか人格その物を指しているとも言えます。
それを奪うと言うことで、操り人形のように見なすと言うことでもあるでしょう。
刑務所などで受刑者を名前でなく番号で呼ぶのと同じですね。
さらに、メッセージとしては「組織の中への個人の埋没」を批判しているのだとも思います。(本来の「千尋」という名前ではなく湯婆婆に付けられた「千」という名前で呼ばれることは湯婆婆の組織の一因でしかないと言うこと)
日本の社会は姓が優先されていますが、これはその人個人よりも「家」という組織を優先的に考えているということの裏返しでもあります。
宮崎監督はこの辺りを嫌っている風があり、トトロでも学校の先生がさつきのことを「はい、さつきさん」と名で呼ぶシーンが出てきますね。
日本の学校なら「はい、日下部(くさかべ)さん」と姓で呼ぶのが普通でしょうが敢えてこうしているのでしょう。
なぜ千尋は「にが団子」の効能を知ったのか?
千尋が河の神から授かった「にが団子」ですが、どう見ても見ただけでは効能はおろか食べられるものだとすら解らないような代物です。(見た目は泥団子のように見えます)
しかし、千尋は最初から食べられるものだと言うことが解っていたようですし(その夜、試しに囓っています)夢で豚になった両親に食べさせて人間に戻そうとしているところからして効能もある程度察していたようです。
作品中では明確に描かれていませんが、ゴミを出し終わった時に、しばらく河の神の手(と言うか水の塊ですが)に包まれていましたので、その間に「にが団子」のことを神から教わったのでしょう。
もしくは、単に見た目如何にも食べられそう(自分で囓ってみる前に臭いを嗅いでいたので、食べられそうないい匂いがしたのかもしれません)な団子で、神様がくれたものだからきっと何らかの良い効果があるだろうと漠然と思ったのかもしれませんが、私としては前者だと思いますね。
ハクを殺そうとしていた呪いはどちらのもの?
息も絶え絶えな龍型のハクに「にが団子」を食べさせたら銭婆の契約印と虫を吐き出しました。
銭婆によると契約印には命を蝕むまじないがかけてあると言っていましたが、契約印と共にハクが吐き出した虫は湯婆婆がハクを操るために仕込んだ物だとも言っていました。
千尋が契約印を持っていても大丈夫でしたし、銭婆に返したときには「まじないが消えているね」と言っていましたから、まあ契約印に銭婆の呪いがかけられていたのは確かで、ハクが瀕死になっていたのもそのせい(式神に攻撃されたというのもあるでしょうが)なのでしょう。
おそらく呪詛はハクが「にが団子」を食べたために、その時点で消えたのだと思われます。(つまり千尋が虫を踏みつぶしたから消えたわけではなく、「にが団子」を食べさせた時点で消えていたと言うこと)
ただ、千尋が踏みつぶしたのは湯婆婆が仕込んだ呪い虫だと言うのも本当のことで、契約印と一緒にこれを吐き出したと言うことでしょう。
カオナシ
カオナシは化け物の類で、橋の真ん中にいつも立っているが誰も見向きもしないと言う存在です。
しかし、千尋はハクに言われて両親豚に会いに行くとき、すれ違ったカオナシが気になって振り返ってしまいます。
おそらく、そのためカオナシは唯一自分を気に掛けてくれた千尋を気に入ってしまったのでしょう。
その後、雨に打たれながら庭から千尋の働く姿を見ていたところ、千尋は親切に招き入れてしまいました。
そのため、カオナシは千尋を更に気に入ってしまい、千尋のために薬湯の札を取ってあげたりします。
カオナシの行動を見ると、まず青蛙を呑むまでは上記の通り千尋に何とかして気に入って貰おうというだけだったのだと思います。
色々考えて札を沢山あげようとしたりしましたが、千尋には気に入って貰えなかったので、砂金を拾いに来た青蛙を取り込んでその声でコミュニケーションを取ろうと考えたのでしょうが、カオナシは取り込んだ人間(?)の声だけでなく、その内なる欲望なども取り込んでしまうようで、そのため(青蛙は見るからに下っ端ですので、たらふく食べて風呂にも入ってみんなが奉仕してくれるのを望んでいたのでしょう)に羽目を外してしまったのでしょう。
とはいえ、基本的な目的は本体の欲求である「千尋と仲良くすること」で、最後まで千尋を追い回します。
しかし、千尋には否定され続け、思い通りにならないならと千尋のことも呑んでしまおうとしますが、にが団子を喰わされて逆ギレしたと。
その後元に戻って悪さをしなくなるのは、取り込んだ人物(?)を吐き出したことで、その欲求等も無くなり本体の欲求であった「千尋と仲良くしたい」という物だけになったからでしょう。
千尋は付いてきて良いと言うのですから、欲求は満たされていますのでそれ以上悪さをする必要もないと言うことです。
最終的に、銭婆のところに留まったのは、千尋以外にも自分を認めてくれる人を見つけ、仕事も与えられて自分の居場所を得たからでしょうね。
結局、カオナシは単に寂しくて、自分の居場所と友達が欲しかっただけなのでしょう。
設定としてカオナシも現代人の(と言うか、誰しも内面に持っているものの)象徴として描かれているようです。
自らは自己主張をすることはなく、他人の声を借りてしかしゃべることが出来ない。
それでいて、優しく接してくれた千尋の気を引きたくて物で釣ろうとするという訳です。
カオナシのモチーフはおそらくストーカーのような人でしょう。
ちょっとしたきっかけで倒錯した愛情を抱き、電話やメールなどの間接的な手段でその人間とコミュニケーションを取ろうとし、脅したり物で釣ったりして何とか自分になびかせようとし、どうしても思い通りにならないと殺してしまおうとか監禁しよう等と考える。
しかし、監督自らも述べているとおり、カオナシやストーカーのこういった特徴は多かれ少なかれ、誰しも内面に持っている物だということなのでしょう。
銭婆
銭婆と湯婆婆は双子の姉妹で銭婆が姉、銭婆によると二人合わせて1人前だそうです。(ちなみに銭と湯合わせて「銭湯」ですね)
釜爺によると「銭婆はこえーぞ」ということですが、実際にはかなり良識があり優しい人物(?)のようです。
まあ、湯婆婆と対立していて、湯婆婆からのちょっかいにはとことん反撃するようですから(それでハクは殺されかけましたね)油屋の人間にとっては怖い存在なのかもしれません。
当初の設定としては銭婆の方がお金持ちで魔法も強く、湯婆婆は嫉妬していると言うことだそうですが、作品を見る限りでは銭婆は慎ましやかに暮らしているのでそんなこともなさそうです。
まあ、銭婆の方が魔法の力が強いというのは確かかもしれませんがね。
作品的には、この二人は「大組織で大量生産し大量に稼ぐ」という油屋式=資本主義的社会と、「少量の物を心を込めて作って生活していけるだけの稼ぎを得る」という銭婆式=家内制手工業的社会の対比を行っているのでしょう。
「二人で一人前」というのは、実社会はこういった2つの側面があって初めて成り立っているということを言いたいのかも知れません。
それから、油屋=湯婆婆が契約で従業員を支配しているのに対して、銭婆はカオナシに居場所を提供し、自分の意志で留まらせたという点で、労働形態的にも対極にありますね。
ハクと千尋は恋しているのか?
どうも女性には「絶対二人は恋している!」と言う意見が多いようで、それはおそらく自身が「ハク格好いい!」等と思っているからみたいです。
私的には、もののけ姫のアシタカは確かに格好いいと思いますが、ハクは別にどうってこと無いようにも見えますが、まあこの辺は放っておきましょう。
で、本題ですが、まあ恋愛感情にも見えなくはないですが、どちらかというと家族愛とかに近い物でしょう。
ハクは神様です。
いくら外見が少年でもおそらく生まれてからかなりの年月が経っているでしょう。
もちろん、自分の統べる河の近くに暮らしていた千尋のことは生まれたときから知っているでしょう。
もしかしたら、ハク(ニギハヤミ コハクヌシ)を祀る神社なんかもあって、千尋は初宮参りや七五三、毎年の初詣にハクのところに詣でていたかもしれませんね。
と言うわけで、ハクにしてみれば千尋は自分の孫とかそう言うような感覚の存在だったのだと思います。(直接の子でないから感覚的には孫)
更に、一度おぼれそうになった千尋を助けていますから、余計に身近に感じていたのでしょうね。
千尋の方はというと、龍の姿で式神に追いかけられるハクを見て直ぐにハクだと気付いたところからして、昔から何となく自分を守ってくれていて記憶にはない幼い頃に溺れた自分を助けてくれた存在だと言うものを感覚的に悟っていたのでしょう。
さらに、この世界に迷い込んでから最初に優しく守ってくれた存在ですから、優しいお兄ちゃんような感覚だったと思います。
もし、これが恋愛感情なら(どちらか一方であっても)別れのシーンではあのようにすんなりとはいかないでしょう。
ギリシャ神話のオルフェウスとエウリディーチェの話(死んだ妻を黄泉の国から連れ戻すときにオルフェウスはどうしても妻のことが気になって振り返ってはならないという言いつけに背いてしまい妻は再び黄泉の国に引き戻されてしまう)のように、恋愛感情であったなら千尋は振り向いたでしょうし、そもそも手を離すことが出来なかったかもしれません。(日本神話のイザナギ/イザナミにも似たような逸話があります)
と言うことで、あの場面は遠くへお嫁に行く子供を見送る父と、男手一つで自分を育ててくれた父を一人残してお嫁に行く娘の心境のような感じだと思うのです。
そのような設定なら、名残惜しさはあっても別れることは出来るでしょうから。
ちなみに、ハクが実は神様で、溺れた幼い千尋を助けたことがあるという設定はどうかと思いましたね。
その程度ではちょっと関わりが浅すぎるでしょう。
どっちかというと、昔飼っていた飼い犬だったとか、そのくらいの強い絆が元々あったという方が良いのではないかと思います。(まあこれでは安直かもしれませんがね)
なぜ千尋は両親豚がいないことを見抜いたのか?
湯婆婆と契約解消して現実世界に帰るためのテストとして、湯婆婆の用意した豚の中から両親を当てるという物がありましたが、何故千尋はいとも簡単に両親が含まれていないことを見抜けたのでしょうか?
銭婆から貰った髪留めの力だという意見も聞きますが、違うと思います。
まあ、髪留めは銭婆やカオナシ、防ネズミ、湯バードバエが千尋のために汗水流して作ってくれた物ですから、魔法がかかっていなくてもそう言った力になったのだともとれますが、髪留めの存在はそう言った直接的な物ではなく、どちらかというと千尋を精神的な面で勇気づけるような存在でしょう。
余談ですが、学校の友達から貰ったメッセージカードが名前を忘れないためのきっかけになったのも似たような意味合いがあるのでしょうね。
と言うことで、おそらくハクのことを思い出したことなどから、千尋には「物事の本質を見抜く力」が付いた(と言うか無駄な曇りが晴れてそう言った本来持っていた力を発揮できるようになった)のではないかと思います。
「一度あったことは忘れない。ただ思い出せないだけでね」と言うように、幼い頃ハクに助けられたことも思い出せたのです。
ずっと一緒に暮らしてきた両親のことならば、例え姿が変わっていても解るに決まっているということではないでしょうかね。
千尋一家は不思議空間にどれくらいいたのか?
現実世界に帰ってきた一家が見たものは葉っぱだらけになって、中も埃だらけになった車でした。
良く見てみると草や木々の葉も最初より茂っています。(同じアングルからでも門の上部構造が見えなくなっていますしね)
この辺を考えるとそれなりの時間が経っているのだと思われます。
不思議空間では3回夜が来ていますので計4日ですが、草木が4日で明らかに生長したりはしないので、外の世界では数ヶ月は経っていたのでしょう。(浦島太郎の竜宮城状態ですかね)
そもそも、タイトルに「神隠し」とあるくらいですしね。
不思議空間に住む人々(?)
全て人間ではないので、人々と書くと語弊があるかもしれませんが、ようは住んでいるキャラクターの種類のことです。
大別して、油屋従業員(一応人型がメイン)、飲食店従業員(黒い影のような物)、神々(お客としてくる色々な神様)、人型の黒い影(列車に乗っていた人たち)、その他(湯婆婆やカオナシなど)と言うところでしょうか。
まず、油屋従業員は基本的に蛙(父役/兄役/番台などを初めとする男性従業員)やナメクジ(顔の大きい女性従業員)等の化け物系でしょう。
リンはナメクジ女かイタチの化け物の少女(14〜15歳と言う設定だそうです)と言うところでしょうかね。
釜爺は蜘蛛でしょう。(腕は6本ですが小さい足が付いているので合計8本あります)
まあ、どっちにしても動物ゆかりの化け物=妖怪で、おそらく湯婆婆と契約して魔法をかけて貰って妖怪化しているのでしょう。(ススワタリは動物由来ではないですが似たような物ですね)
油屋の外にある飲食店で働いている黒い影は動物由来でない妖怪の類でしょうかね。
湯婆婆の魔法で作り出された実体のない存在かもしれませんが。
ちなみに、湯婆婆の部屋の落とし穴の底(瀕死のハクと千尋が落ちたところ)にも似たようなのがウヨウヨしていましたから、昼間は油屋のこの辺に隠れていて、暗くなると外に繰り出して店を始めるのかもしれません。
神々は文字通り神様で、日本各地(現実世界)からこの異空間を訪れて疲れをいやして英気を養うと言うことでしょう。
油屋従業員のもののけと違って神ですから、人間の千尋を見ても驚いたり喰おうとしたりはしませんでしたね。(エレベータのおしら様は逆に手伝ってくれました)
列車に乗っていた人型の影は一番難解です。
千尋のように迷い込んできて、この世界の物を食べなかった人だという意見もあるようですが、千尋はハクの差し出した実を食べる前は完全に消えようとしていましたし、ハクも「消えてしまう」と言っていましたからおそらく違うでしょう。
街で列車を降りていくところからして、おそらく街で生活しているであろうことが想像できますから、この世界の正規の住人なのだと思われます。
と言うわけで、安直に「幽霊」ではないでしょうかね。
人型ですから、人間の幽霊なのではないかと思います。
あとは、湯婆婆/銭婆やカオナシなどですが、湯婆婆/銭婆は魔女ですが人間ゆかりではなさそうですので、おそらく動物に魔法をかけたとかではない、純粋な妖怪(砂かけ婆や子泣き爺などのような)でしょう。
東洋的に言うと、湯婆婆などは「夜叉」や「鬼婆」っぽいですね。
「坊」や「顔×3体」も同様でしょうが、湯バードは鳥に魔法を掛けて妖怪化したものかもしれません。
カオナシはちょっと特殊な存在っぽい(設定では別の世界から来たらしい)ですね。
まあ妖怪系なんでしょうが。
基本的にこの世界は現実世界の様々な物を元にして構成されていると思われるので、湯婆婆などは守銭奴の人間の強欲さから生まれた妖怪、カオナシは自分の意見を持たず消極的で電話やメール等のツール類を使わないとコミュニケーションすら出来ないような現代人から生まれた妖怪ではないかと思います。
カオナシは新しく生まれた妖怪で、その特徴から他の妖怪達と関わることもなかったため、油屋の連中からも「化け物」扱いされて毛嫌いされていたのでしょう。
不思議空間の構造
作品中に出てくる部分は油屋とその周辺の飲食店街、列車の線路と駅、列車の通り道付近にある街、銭婆の家と言ったところです。
この空間は現実世界とのパラレルワールドで、神々の住む世界だという解釈が多いですね。
私としてもパラレルワールドであることには同感です。
基本的に「あの世」とか「極楽」「冥府」と呼ばれるような場所だと思います。
ただ、この世界にも段階があって、一番現実世界に近い部分が油屋のある辺りなのだと思います。
直接現実世界との境界がありますし、現実世界から神々が来るには近いところの方が都合が良いでしょう。
さらに、妖怪は幽霊よりも物質的ですからより現世に近い存在で、この地域に多く住んでいるのだと言えます。
で、電車の進む方向に従って世界は変わって行き、街があるところからは主に幽霊というか霊魂の住む領域なのではないかと思います。
電車の進行方向に進むに従って本来は物質世界との関わりが希薄になっていくのでしょう。
そう考えると、釜爺の言うように「昔は帰りの電車もあったんだが、今は行きっぱなしだ」という状況は、「昔は輪廻転生があったり妖怪や幽霊/霊魂が現実世界に戻ったりしていた(お盆など)のに今は戻ることが出来なくなった」と捕らえることが出来ます。
電車に乗っている人型の影はおそらく死んだ人間が冥土に来たということなのでしょう。(だから皆大きな荷物を持っているし、乗客には老人が多い)
ちなみに、看板などに沢山「め」「目」などの記述が見られます。
電車に乗っている人の荷物(紙包みの方な物)にも「めめめ」等と書かれていたりしていますし。
これは何なんでしょうね?
この世界では目(動物のものだか人間にものだか解りませんが)が何か貴重な物なのでしょうか?
まあ、これは正直全く見当が付かないのですが、油屋外の飲食店街にも看板があるところからすると、動物や人間の「目」が珍味として珍重されているのかな?等と思います。
以上、考察や解釈はこんなところですが、例によってこの物語も続きが書けそうです。
実際インターネットを見て回ると、千尋とハクの再会などと言った続編が多数書かれていますね。
私もご多分に漏れずこの路線で書いてみますかね。
(まあナウシカ続編のように長いストーリーにはならないでしょうが)
今まで2000年に購入した三菱RVRに乗っていたのですが、飛び石でフロントガラスにスターブレイク(星状のひび)が入ってしまい、そのままでは車検に通らないだろうと言うことで買い換えを検討しました。(市販の補修剤で補修を試みましたがひびがガラス内部で延びていたために上手く補修できませんでした)
まあ、その他にも2人目の子供が産まれるというのもあったんですがね。(RVRは4人乗りモデルだったのでチャイルドシート2つをリアシートに着けてしまうと妻が助手席に座るしかなくなり子供の面倒が見づらい)
新しい車の条件としては
と言うところが基本でした。
それと、今回は育児休職中、家にいて保育園に子供を送迎しなければならない妻から、いっそのことセカンドカーも買えと言う要望を突きつけられました。
セカンドカーの要求条件としては
と言うところでした。
これで、2台合わせて(下取り額を引いた上で)予算4百万です。
で、ざっと探したところ候補は以下の表のようになりました。
さらにカタログや試乗で得た情報から評価した内容も乗せておきます。
車名 | 長所 | 短所 |
---|---|---|
トヨタ ノア | 5ナンバー 車内が広い マルチ回転シート(オプション)でサードシートまでウォークスルー ガングリップシフト D-4エンジン(シリンダ直噴) 後席TV(オプション)の設定がある 後席TVを付ければビデオ接続可能 |
セカンドシート/サードシートの背もたれが低い 多少揺れが大きめ 低回転時のエンジン音が多少うるさめ G-LEV(セレナはU-LEVなのでマイナスポイント) 外観デザインがいまいち X/Sグレードにナビパッケージが設定されていない |
トヨタ ヴォクシー | ノアより多少外観が良くナビパッケージの設定がある | 販売店の立地がいまいち良くなかった 担当営業といまいち相性が良くなかった 値引き/下取り額がカローラ(ノアはカローラでヴォクシーはネッツ)より良くなかった セカンドカーを同時購入できない(カローラにはデュエットがある) |
トヨタ エスティマハイブリッド※ | ハイブリッド車である(ステータスの意味もあるし燃費的にも環境的にも良い) ハイブリッド車への(国からの)補助金が受けられればエスティマLとたいして変わらない価格になる |
補助金を受けられてもやはり高い(明らかに予算オーバー) ハイブリッド自体が新しい技術なので今後値段が下落する可能性有り 回転シートがない |
日産 リバティー※ | 車高が低い | 室内がいまいち狭い 販売店の立地が悪い(ブルーステージ店は家から遠い) |
日産 セレナ | 揺れが少なめ セカンドシート/サードシートの背もたれも充分 CVT U-LEV認定 エンジン音が静か |
8人乗りだとサードシートまでウォークスルーにならない カローラよりも値引き/下取りが良くない 純正ナビの画面が奥まっていて後席からほとんど見えない 純正ナビはビデオ接続機能がない |
マツダ MPV※ | 両側電動スライドドア 後席TVが付く シートアレンジに自由度が高い トヨタ/日産より車体価格が安め(3ナンバーの割に) |
ディーラーがダメダメ(ちょうどマイナーチェンジ直後で混んでいたこともあり行ってもなかなか話が出来なかった) カタログを見る限りでは(結局待ちきれずに営業と話をしていないので)サンルーフと後席TVを同時装着できない 純正ナビはビデオ接続機能がないと思われる |
車名 | 長所 | 短所 |
---|---|---|
ダイハツ ミラジーノ | 軽自動車なのでランニングコストが安い デザインがよい 幅が小さい |
車内が狭い ウォークスルーでない キーフリーシステムの設定がない 値引きがほとんどない |
ダイハツ オプティー※ | ジーノとほぼ同じ | ジーノとほぼ同じ |
ダイハツ ネイキッド※ | 軽自動車であること+その割に車内が広い ウォークスルー(助手席−運転席のみ) キーフリーシステムの設定がある |
デザインが気に入らない(妻) 値引きがほとんどない |
トヨタ デュエット | キーフリーシステムの設定がある デザインがそこそこ CDデッキが標準で付いている 軽自動車よりはやはり室内が広い 普通車としては幅が最小クラス ノアと同時購入可能(更にその場合値引きが大きい) |
(マーチと比較して)内装がチャチ 1000ccモデルはちょっと非力でエンジンがうるさめ |
日産 マーチ | キーフリーシステムの設定がある デザインが良い(妻) デュエットよりも室内が広い 内装もそこそこ |
(家の駐車スペースには)車幅が大きい キーフリーのくせにドアノブのボタンを押さないと開錠しない ハンドルが軽すぎる 1000ccグレードにはキーフリーシステムがつかない=デュエットより割高 |
※印の車は試乗していません(エスティマはハイブリッドでなくエスティマLに試乗しましたが)
と言うことで、まずはノア+デュエット、ヴォクシー+軽のどれか、セレナ+軽のどれかという3パターンに絞りました。
その中でもノア+デュエットのパターンを最有力として、欠点がどうなのかを考えてみました。
まず、デュエットにはそれほど大きな欠点は感じられません。
まあ軽自動車よりランニングコストがかかる位ですが、安全性や居住性/ノアと2大道寺購入するということでの値引き幅を考えればそれくらいは充分ペイできるだろうと考えました。(ネイキッドなら引けを取らないのですがデザイン的に妻が気に入らないという最大の弱点がね(^^;)
それから、ノアの方ですが、スタイルはオプションエアロで何とかなりますのでOK(Xにエアロを付けるのとSとだと値引き幅の違いからX+エアロの方が安い)として、背もたれの高さ不足と揺れをどう考えるかと言うのが最大の悩みどころです。
ただ、背もたれと揺れはヴォクシーでも同じですし、セレナのビデオ接続不能は(家にとっては)致命的に近い物があったため結局ノア+デュエットに決定しました。
ちなみに、ノアのグレードはX GSelectionでオプション装備は純正エアロ、純正アルミ、ナビ、ツインムーンルーフ、後席TV、マルチ回転シート、ETC車載機、キーフリーシステム、電動スライドドア、純正フォグと言ったところです。
デュエットは1.0Vリミテッドベースにリアスポイラー(プライバシーガラスとセットなので)、アルミホイールと言ったところです。(両車共にコーティングもやりました)
2002/07/18追記 新車購入時の値切りテクニックを書いておこうと思って忘れていましたので追記します。
ちなみに、これはあくまで私の経験上得たテクニックですし、それほど購入経験が多いわけでもありませんから(第一他の人よりも沢山値引きして貰っているのかどうかは解りませんから)あくまで参考程度に考えてくださいね。
では本題ですが、まずディーラーに赴く前にインターネットなどである程度候補を調べておくことです。
ディーラーは沢山ありますし、同じ自動車メーカでも販売店の系列が異なると取り扱い車種が異なりますからむやみに巡っていると時間ばかりかかって、後から「こっちの車の方が良かったよ」ということになりかねません。
最近はどの自動車メーカもオンラインで簡単な見積が出来たりしますので、まずは各メーカのWebページを見てみましょうね。
で、ある程度候補を決めたらディーラに赴くのですが、最初は一つのディーラで長く話し込まないで、簡単に見積だけ出して貰うのが良いでしょう。
もちろん展示車に買いたい車があれば良く見てください。
この時点では余り値引き交渉などはしないで、とにかく候補に挙がっている車を全部見て担当営業と軽く話をしておくのがよいと思います。
と言うのも、長く話し込むとついその車が欲しくなってきてしまうからです。
実物を見て余り欠点がないと思えると、他の車を見ないで決めちゃっても良いかと思えてきてしまいますが、それで決めてしまうと他の可能性を閉ざしてしまいます。
ちなみに、ここで注意すべきことは車自体の価格表は当然として、オプション品の値段表も貰ってくることです。
多くのディーラがそうですが、ディーラーオプションのカタログは値段が載っていない物しか最初はくれません。
貰ったカタログを確認して値段の記載がなければ値段表を貰ってください。
一通り見積を貰ってカタログも見たら、家で良く考えてまず候補をある程度絞りましょう。
値段的にどうしても予算オーバーしそうな物とか、装備などに不満が多い物はこの時点で切り捨ててしまいます。
さらに、残った候補にはどういったオプションを付けたいかを考えてください。
この時点では余り値段のことを余り気にせず(ディーラオプションは沢山付けると値引き幅が大きくなりますから)に、付けたいと思うオプションには全て印を付けておきます。
ここまで出来たら今度は時間に余裕を持って、残った候補のお店に足を運びます。
で、あらかじめ考えてきた欲しいオプションを全部入れて貰って見積もりを出して貰います。
同じ車種の複数グレードで迷うところがあるのならとりあえず両方について出して貰いましょう。
この時点では値引き交渉も試乗もしていただいて構いませんが、「ご予算の上限はいかほどでしょうか?」と聞かれても答えてはいけません。(重要です)
適当にはぐらかして下さい。
予算を教えてしまうと(その予算が到達可能な物だと)そこまでしか値引きに応じてくれない可能性が高くなります。
それから試乗するコースは出来れば全ての車で同じ道を通るようにした方が良いです。
道が違えば乗り心地はかなり変わりますので、感覚は大分異なります。
この辺だけ気を付けて、心ゆくまで営業と話しましょう。
ただし、まだ決定してはいけません。
もちろん、即決を求められても断ってくださいね。
さあ、いよいよ大詰めです。
この段になったら、それぞれの見積を見比べて、一番トータル価格の安いものを基準に考えます。
順番としては、まず一番高いお店から順にもう一度赴いて「XXはXX万円なんですがこれより安くなりませんかね?」と聞いてみましょう。
(同クラスで似たような装備が前提ですが)同じ価格までは頑張って下げてくるか、完全に「無理ですね」と言われるかどちらかでしょう。
それを全てのお店でやってみて、最後に一番安かったお店に行って下さい。
他にもっと安いところが出てきていればそれを告げて良いですし、そうでなければ「後ちょっと下がればここに決めるんですが」という感じで攻めてゆきます。
このようにすれば、おそらく全てのお店で限界に近い値引きを引き出すことが可能です。
あとは、それぞれの車の利点/欠点と、最終的に提示された価格でどれにするか決めて下さい。
決まったらそのお店に行って、最後のだめ押しとして「実は予算がXX万円で、あとちょっと下げてくださればこれに決めようと思っているんですが」と言ってみましょう。
XX万円はその時点での提示額マイナス数万円というところでしょうね。
ただ、いくらなんでも予算が334万だとか言うようにキリが悪いのはおかしいので、これくらいなら300万とか言いましょう。
ここまで行けばほとんど限界に近いと思いますが、本当に最後の手段として何かオプション品をサービスで付けてくれないか聞いてみます。
ここまでやればもうディーラーは鼻血も出ない状態でしょうが、まだ値段を安くする手段は残されています。
何かというと、先に付けておいたオプションやディーラーが勝手に付けてくる標準添付品(愛車セットとか脱出用ハンマーとか)を削るのです。(もちろん余り必要なさそうだと思う物だけですし、最後にサービスで付けて貰ったものを削るのはNGですがね)
ディーラーとしては余り値の張るオプション等でもない限り、この段になって外すと言っても値引き額自体は変えにくいと思われますから、値引き額はそのままで多少値段を抑えることが可能です。
以上、これだけやればもう完璧に近いでしょうから、(今までのお詫びの意味も含めて)あとは出来るだけ早く契約してあげましょうね。
では、インプレッションに参りましょうか。(なお、あくまで私の車を対象としていますのでオプションの有無やグレードによって異なる部分があります)
まずノアですが、車高が高いために運転席には「よじ登る感」が強いのは致し方ないところでしょう。
その代わり、乗ってしまえばアイポイントが高いため比較的視認性が良く、渋滞でも周りが普通車ばかりなら結構遠くまで見通せます。(もっとも最近はミニバン/1BOXが多いのでそんなシチュエーションは滅多にないですけど)
走行性能の方はと言うと、低速域からの加速は比較的スムーズでセダンライクな走りが出来ます。
80km/hを越える辺りからは3速だと回転が上がりすぎてうるさく(と言ってもスポーツカーに比べれば静かですがミニバンとしてはうるさいというレベルです)なりますし、4速に入れてしまうと(Dレンジですから意図的にと言うよりもアクセルワークでそう仕向けるわけですけど)加速力不足気味になります。
もちろんこの辺は前のRVR(1800ccGDI)でも似たような物でしたが、欲を言うと5速欲しいところですね。
まあ市街地走行では80km/h以上出すことはほとんど無い訳ですし、高速道路ではゆっくり加速すれば問題ないので、これで良いと言えばこれで良いのでしょう。
どうしてもと言うときは6千回転まで引っ張れますから、騒音を我慢すれば(くどいようですがそれでもスポーツカーに比べれば静かです)かなり良い加速をしてくれます。
山道などはまだ走っていないので登坂性能などは解りませんが、自宅周辺の丘陵地帯の丘越え程度ではそれほどパワー(と言うかトルク)不足は感じませんね。
路面の凹凸に対する揺れや振動は試乗時から多少気になっていたように、やはりセレナに比べるといまいちです。
とはいえ、RVRに比べれば良い方ですし、一般的な中堅セダンと比べてもそれほど遜色はないというレベルだとは思います。
ロールも車高が高い=重心が高い割に少ないです。(足回りが堅いというわけではないのでおそらくスタビライザーを利かせているのだと思われます)
後はとりまわしですが、小回りも比較的利くのでUターンでも片側2車線道路ならそれほど苦無くいけますし、ナビに標準付加されるバックモニター機能は夜間でも(バックランプだけの照明でも)かなり鮮明に写りますから、車庫入れなどもセダンライクにこなせます。
ちなみに、バックモニターには縦列駐車ガイドなどの機能もあり(まあ余り使えませんが初心者やペーパードライバーには大分助けになるでしょう)セダン等普通車からの乗り換えはでもほとんど抵抗無くいけると思います。(コラムシフトと足踏み式サイドブレーキには多少慣れが必要ですけどね)
ハイエースなどの1BOXや、エルグランドなんかの大型ミニバン(言葉的に矛盾がありますが)にはちょっと抵抗があるけど、子供が増えて普通車では手狭だとか、大きな居住空間でレジャーを楽しみたいなどと言う方にはちょうど良いと思います。(もちろんこういった目的ならヴォクシー/セレナなども良いですが)
次にデュエットですが、1000ccエンジンはやはり非力ですし(ただ平らな道で60km/hくらいまでなら結構スムーズです)車室内も狭いです。
とは言え、ミラなどの同タイプ軽自動車に比べればパワーやトルク(NAエンジンでの比較ですがね)も居住空間も格段に上です。
とりまわしなどは基本的に軽自動車とほとんど変わりませんから、やはり「後ちょっとの余裕」とランニングコストなどの費用を天秤に掛けてどちらにするかというところでしょうね。
デザイン的に問題を感じないなら(そして私のように2台同時購入などしないなら)ネイキッドなんかの居住空間重視型軽自動車の方が良いかもしれませんが。(MOVEやワゴンR等になると車体価格がデュエットを越えますけど)
以下はそれぞれの良いところ/悪いところ(不満を感じるところ)の細かい点をまとめてみました。
ちなみに一応ことわっておきますが、項目数的にはマイナス評価の方が多いですが、不満を感じるところの方が印象に残るわけで、総評としては両車ともに充分満足はしています。
2005/04/19 以下の方法ですが微妙に間違いなどがあるようです。(ナビの年式によって違うのかもしれませんが)
この辺りを検証&実証してくださったmobamuraさんのご報告を最後に追記しておきますので、そちらも参考になさってください。
最後にノアの純正ナビ(DVDボイスナビゲーション付ワイドマルチAVステーションII)のテレビを走行中でも見られるようにする改造方法を紹介しておきます。
基本的にはノアだけでなく最近のトヨタ純正ナビには共通して通用すると思われます。
ちなみに、走行中テレビ画面が映らないようになっているのはメーカの自主規制ですので改造を行うこと自体は違法ではありません。
とは言え、運転中にテレビを見るのは危険ですし、安全運転義務違反にもなり得ますから、あくまで同乗者向け(もしくは信号待ちなどで止まった時用)だと考えてください。
それでは具体的な方法ですが、まずはディーラーに相談してみましょう。
私の購入したディーラーでは市販の改造キットを有償で取り付けることなら可能だと言っていました(私はあらかじめネットで調べて自分で出来ることはほぼ解っていたためこれは頼みませんでした)が、ディーラーによっては以下に示すような改造をサービスでやってくれるところもあるようです。(現に前のRVRはディーラーオプションのナビでしたが走行中も映るように細工してくれました)
ディーラーでダメだった場合は自分で改造するか、改造キットを購入してカーショップで取り付けて貰うかなどになるわけです。
どちらにするかは以下を読んでから決めて下さい。
改造キットは1〜3万くらいしますが、自分でやってインパネを割ってしまったり、最悪ナビ自体を壊してしまったら修理代はもっとかかりますから、自信がないようなら無理をしないでキットをお店で取り付けて貰った方が良いと思います。(キットを買って自分で付けるくらいなら改造した方が良いとは思いますがね)
では、いよいよ改造方法ですが、まず最終目標をどのような形態にするかがを決めないといけません。
状態としては
という3つがあります。(市販のTVキットはノーマル復帰機能付きで1の状態になります)
1の方法はナビへの車速センサー信号入力を切ってしまう(他にやりようはないと思います)ので、ナビがGPSのみでしか位置更新を出来なくなります。
と言うことは、ナビの精度が落ちますし、トンネル等の中では位置更新がされなくなるので、改造状態とノーマル状態を切り替えることが出来るようなノーマル復帰スイッチがほとんど必須になります。(残り2つはノーマル復帰する必要はないでしょうからスイッチはいらないでしょう)
ちなみに、走行中に制限されるナビの操作はナビ設定とかメモリ地点の修正とかいった日常的には使わない機能(まあ目的地の追加や施設検索などはそこそこ使うかもしれませんが、走行中に操作する必要性は余りないでしょう)ですから、私は2番を選択しました。(前のRVRもこの状態でしたのでこの状態に慣れているというのもあります)
と言う訳でどの状態にするかを決めたらそれに合わせた改造を行うことになりますが、最初の手順は基本的に全てに共通ですので、どの目標状態を目指すにしてもまずはこの直ぐ下から読み始めてください。
ではいよいよ実作業ですが、まずは全ての目標に共通するナビ本体の取り出しからです。
基本的にほとんどの車種ではセンターコンソールのパネルを外してナビ本体を取り出します。
インパネの外し方(及びナビ本体のコネクタ位置などについても)は改造キットを製造しているDataSystemのページに詳しく載っています。(TV-KITの適合表PDFファイルで適合製品名を確認し、TV-KITの製品情報ページから対応製品の取扱説明書[ノアの場合]を見れば対応各車のインパネのはずし方が書いてあります)
ノアの場合(ヴォクシーも同じだと思います)を簡単に説明しますと、まず大きめのマイナスドライバーを用意して、ドライバにビニールテープか布ガムテープをぐるぐる巻きにします。(パネル類を傷つけないため)
それから傷を防ぐために雑巾も用意した方が良いでしょう。(マスキングテープなどがあればその方がいいかもしれません)
そこまで出来たら、まず助手席側と運転席側の前方コンソールにある収納ボックスの蓋を開きます。
するとナビ(エアコン吹き出し口も)のはまっているパネルの両脇下部にドライバーを突っ込める程度の溝というか穴というかがあるのが解ると思います。
まずはここにドライバーを差し込みます。
そうしましたら、ドライバーを車両前方に向かって倒して行って下さい。(てこの原理でくさび状の爪を引き抜きますので、ドライバの支点になる部分に雑巾を挟むなどして余計な傷を防止してください。以下同様です)
ちょっと勇気がいりますが、ある程度力を掛けると「バキッ!」と言う音と共にかみ合っていた爪が外れてパネルが少し浮きます。(あまり勢いよくやるとコードが切れたり爪が折れたりするので気を付けてくださいね。加減は難しいですが慎重かつ大胆に(笑))
浮いたらその部分に雑巾等を突っ込んで再び爪がかみ合ってしまわないようにしておきます。
同様にして反対側(先に運転席側をやったなら助手席側)の爪も外します。
で、この時点で開けておいた収納ボックスの蓋を閉じておきます。
パネルが完全に外れてしまうとこの蓋は閉まらなくなり、パネルも取り外せなくなるのでこの点は要注意です。(失敗者は語る)
次にメータパネル下部のつなぎ目にもドライバーを差し込んで、同じように爪のかみ合いを外してゆきます。(全部で4カ所止まっています)
一応ナビ画面の下部にも爪があるようですが、これはちょっとかみ合っているだけなので特に意識しなくともパネルは手前に引っ張るだけで外れると思います。
なお、トリップメーター/ODメータの切り替え/リセットスイッチ(他グレードだとメータ照度調整などのスイッチもあるようですが)の部分は別パネルになっていてケーブルが繋がっていますからこのパネルも外した方が良いです。
外し方は、スイッチパネルの直ぐ先(車両前方方向)を指で押して隙間が出来たらそこに爪(指にある爪のことです)を引っかけて上に引っ張るだけです。
全ての部品は爪でかみ合っているだけですので、上手く外せれば簡単に外れます。
ただ、失敗するとネジと違って折れてしまいますし、他の部分に傷を作ったりしますのでくれぐれも気を付けてください。(もしかしたらディーラーの担当営業に頼めばパネルを外すのくらいはタダでやってくれるかもしれませんけどね)
インパネが外れたらいよいよナビを取り外して細工に取りかかるのですが、その前に一応バッテリーのマイナス端子を外してください。
お解りだとは思いますが、これはショートしたりする危険を回避するためです。
しかし、ばらした状態で色々テストしたいとか、時計などがリセットされるのがいやだという方は外さなくても(きちんと注意さえすれば)それほど問題はありません。
ただ、もちろん外さないでやる場合はショートなどの危険があること、ショートさせたりすると最悪ナビや車が壊れる可能性もあることは承知しておいて下さいね。
ちなみに、私はテスターで計って信号線を確認したりうまく改造できたか確認する都合上(何度もバッテリー端子を繋いだり外したりするのは面倒なので)そのまま作業しましたが、皆さんにはやはり外して作業することをお勧めします。
では、本題ですが、まずナビ本体を車体に固定しているネジを外します。(確か4本くらいだったと思います。これは見れば解ります)
そうすると、ナビ本体を手前に引っ張って外せます。
ただ、当然裏側にケーブルが繋がっていますから、いきなり力一杯引っ張ってはダメです。
まずは裏側のコネクタが外せる程度の位置まで引っ張りましょう。
このときセンターコンソールにナビを置かないと作業できないので雑巾を敷いて傷つけないようにしておいた方が良いでしょう。
ナビのコネクタを引き抜けるような状態になったら、5ピンコネクタ(ノアの場合は運転席側の一番端/一番上にあるコネクタですが機種によって異なるのでTV-KITの取説で確認して下さいね)を引き抜きます。
もし、作業しづらいからナビ本体を完全に取り出したいという場合は全てのコネクタを抜かないといけませんが、その場合は各コネクタがどこに繋がっていたかをきちんとメモしておきましょうね。
私見としてですが、細工するのはナビ本体の方ではなくコネクタに繋がっているリード線の方ですから別に全部抜いてナビを完全に取り出す必要はないと思います。
コネクタが抜けたらコネクタ裏側から見て一番右(装着状態で一番助手席側。下の方に図解してあります)の線を5〜6cm残して切ってしまいます。(既存の線を切ることに抵抗がある方は同じコネクタの雄雌セットをどこかで入手してブリッジタップを作らないといけませんが、標準的なコネクタではないのでなかなか入手は難しいと思いますから思い切って切ってしまった方が良いと思いますよ)
線を切ったら、コネクタに残っている線の端の被覆(周りのビニール)を1cm程度剥いてください。
この線はアースしないといけないのですが、作業性を考えると5〜6cmではやりづらいので適当なリード線を持ってきて継ぎ足した方が良いでしょうね。(私の場合継ぎ足して20cm程度にして半田付けしました。最初から長く切っても良いのですが長く切るのは色々と面倒なのでこの方法が出来ればベストでしょう)
そうしましたら、その線をナビ本体でも車体でもどちらでも良いので、アースされているネジで共締めします。(ノアの場合ナビ周辺にアースされているネジが見あたらなかったので、私はナビ本体のネジに共締めしましたが、ケーブルの関係上可能なら車体側に繋いだ方が良いと思います)
とりあえずこの時点で最終目標3の状態になっています。
つまり、走行中TVは映りませんが停止すればパーキングブレーキをかけなくても映るという状態です。
この状態で良いという方はこのままナビとパネルを元に戻して完成です。(もちろん完全に元に戻す前に一応動作確認しておいた方が良いと思います)
さて、目標2と1を希望している方は更に作業が必要です。
この辺、実は既に写真付きでまとめてくださっているページがあります。
私もこのページを参考に作業しました。
ですがあくまで個人のページなので、いつ閉鎖されるか解りませんから一応手順は書いておきます。(上記のページが見られるならそちらを見た方が良いです)
貴方がここを読んでいると言うことは既に上記ページは閉鎖されていたのでしょうかね。
残念ですねー。
まあ余談はこれくらいにして、まず目標2の方法です。
目標1にしたい方はこの手順は必要ありませんので読み飛ばして結構です。(メリットは薄いですけど全くないわけではないので両方やっても良いですけどね)
目標2にするにはちょっと面倒な手順が必要になります。
先ほどのコネクタで右から4番目(装着状態で運転席側から2番目)の空き端子を何とかしてアースしないといけないのです。
このためには、まず被覆を剥いた細めのリード線(細線が束になっている物だと切れやすいので出来れば中身が1本線になっている物がお勧めです。私はLANで使うTケーブルの細線を使いました)をこの部分に裏側から差し込んで先が少し飛び出るようにします。
ただ、このコネクタは裏側の穴と端子穴が内部でクランク状になっているようでちょっと難しいです。
こつとしてはやや斜め下方向に向かって挿入するくらいですが、色々と試行錯誤して頂くしかないでしょう。
で、上手くリード線が挿入できたらそのままコネクタをナビ本体にはめます。
うまく行くとナビ本体の♂端子がコネクタの端子穴にはまって挿入したリード線は挟まります。
この状態だと追加したリード線をちょっと引っ張っても抜けてこないので、それを確認したら線が抜けてしまわないようにビニールテープなどで他の線と束ねてしまいましょう。(もちろん簡単に抜けてしまった場合はやり直しです)
追加したリード線は先ほどのパーキングブレーキ線と同じようにアース部分のネジに共締めしてください。
これで走行状態でもTVは映るようになり目標2の達成です。
動作確認が出来たら、ナビ本体とパネルを元に戻してできあがりですね。
2005/04/19 以下で説明している目標1の改造方法ですがどうやらこれではうまく行かないようです。私自身は目標2にしたので以下の方法は実証していませんし、間違っていても不思議は無いため参考程度に読んでください。
最後に目標1ですが、これにしたい方はまずスイッチを用意してください。
上でも書いたように車速センサの入力を切断してしまいますので、その状態ではナビの精度が落ちてしまいます。
ですから、TVを見たいときだけ(その状態ではナビはどうせ見ないので)スイッチを切り替えて使うという訳です。(なお、TVを見ながら音声案内だけ参考にしたいとか言う場合ナビの精度が落ちている状態ですので気を付けてください。特にトンネルなどを通過したらかなりずれている可能性が高いです)
まず、どのようなスイッチを買ってくるかですが、パーキングブレーキ線を常時アースしてしまうのなら(つまり完全なノーマル復帰はしないと言うことですが、機能面から言えばこれで充分だとも言えます)単純なON/OFFスイッチ(2Pスイッチ)でOKです。
形状は好きに選んでくださって構いません。
まあ、美しさを追求するなら空いているスイッチパネル(フォグのスイッチなどが入る部分)に綺麗に収まるメーカ純正(と互換性のある形状の)スイッチを使うのが良いでしょうね。(その場合運転席周りのインパネもばらす必要があります)
簡単に済ませるのなら、ODメータ/トリップメータスイッチパネルに空きがあればそこにトグルスイッチ/プッシュロックスイッチなどを付けてしまうとかが良いでしょう。(さすがにスイッチをぶら下げておくのはやめておいた方が良いと思います)
ちなみに、パーキングブレーキ線も処理して完全なノーマル復帰にしたいなら6Pスイッチが必要ですが、ここでは2Pスイッチを使うことを前提として書いておきます。(6Pスイッチを使う場合は言葉で説明しづらいので説明は省略しますが、下に一応配線図だけ書いておきます。どうしても詳しく聞きたいという方は掲示板から要望してください)
では、実際の作業ですが、真ん中の線(真ん中はどこから見ても真ん中/3番目ですね)を5〜6cm残して切断します。
切断した線(コネクタ側/車体側双方)には必要に応じて別のリード線を継ぎ足して長くします。(半田付けが望ましいですが)
後はそれぞれの線を2Pスイッチの端子に接続し、スイッチを適当なところに設置したらナビやパネルを元に戻せば完成です。
スイッチはONでノーマル復帰、OFFでTV視聴/ナビ操作可能状態です。
以下、参考までに配線図を書いておきます。(図はテキストで書いているので途中改行されるとまともに見えません。改行されないようにブラウザの横幅などを調整してください)
2Pスイッチを使う場合 | ┌─┐ │コ├(PB線)──(アース) │ネ│ │ク│ ─┴─ │タ├(車速線)─○ ○──(車体側の元の車速線) └─┘ |
---|---|
6Pスイッチを使う場合 | ┌─┐ ○──(アース) │コ├(PB線)─○→ │ネ│ ○──(車体側の元のPB線) │ク│ ○ │タ├(車速線)─○→ └─┘ ○──(車体側の元の車速線) |
コネクタ配線配置 | ↑ ─┬─┐ 助 ナ│コ├パーキングブレーキ(PB)信号線 手 ビ│ネ├空き 席 本│ク├車速信号線 体│タ├空き(目標2でアースするのはここ) │ ├バックモニタ信号線 ─┴─┘ |
mobamuraさんのご報告(2005/04/19追記)
ナビの改造に関して、掲示板でmobamuraさんにご報告を頂きました。
引用に関してご快諾していただいたので、ご好意に甘えて全文引用させていただきます。
mobamuraさんありがとうございます。
mobamuraさんのオリジナル報告記事
初めまして。
2005年2月ノアAZR60Gを購入。嫁さんが、純正ナビのTVがいつでも見られるように何とかしてくれというので、
「そのうち考えるわ」といってたところ、嫁さんが乗って外出時、停車中にTVを見ていて度々サイドブレーキを
かけたまま白煙を上げながら走行してしまうので、このままでは車が壊れてしまう!(^^;)ので、本日、改造
作業をしましたのでご報告です。(b_51様情報有難うございます)
あくまでご報告ということで、参考にされる場合は自己責任でお願いします。何かあれば補足願います。
まず、情報収集してわかったこと。(おそらくVOXYもおなじかな)
1、b_51様のホームページをはじめ、個人のイプサム240やエスティマ、さらにはチューニングショップや
ソニーなど色々なホームページから最近のトヨタ純正ナビなどの情報を入手。
トヨタ純正(MOP)ナビは「ナビゲーションコンピュータ部分とナビゲーションレシーバー部分(AV関連)の
2つの部分に分かれて
いる。(全ての車種に該当するかどうかは不明。わかったのはノア、VOXY、イプサム240)
2、車速パルスは上記2つの部分に別々に入力されているので、レシーバーへの灰色コネクタ(5ピン)の車速
パルス信号線をカットしたままでもナビゲーションコンピュータ側へは別に伝達されているので単純にカット
しただけでOKのようだ。
3、ナビの「ダイアグモード(チェックモード)」の表示方法がわかった。これで車速パルスが正常か簡単に
確認できる。
以上のことから、5ピンコネクタのサイドブレーキ信号(1番ピン)はナビの固定ネジに共締めしてアース、
車速パルス信号(3番ピン)は単にカットだけすることにしました。
早速作業を開始。最大の難関はインパネはずしでした。(自信の無い場合はバッテリーのマイナス端子を
外しましょう)
まず、サイドブレーキを踏み、エンジンをかけ、シフトレバーを一番下(Low?)にし、エンジンを切ります。
これでパネルを外した時シフトレバーに当たりません。
100円SHOPダイソーで買ってきた「時計の電池交換用金属へら」とマイナスドライバーでティッシュで傷防止
しながらこじり、じわじわと手前方向に引っ張って外しました。かなり固いし時々「バキッ!」という音が
するので、ドキドキ。
パネルの外しかた(外す個所の順番)はb_51様のページ内リンクのPDFを参考にしました。
パネルを外し、ナビの固定ネジ4箇所を外し、傷がつきそうなところにはティッシュを充分にはさんでナビを
手前に引くと灰色の5ピンコネクタが見えます。
コネクタを抜き、黒いテープ状の被服を鋏等で2〜3cmほどはがすと2本の線が現れます。
コネクタから3cm位のところで2本ともカットします。
コネクタから出ている車速パルスの線(3番ピン)はそのまま。コネクタのサイドブレーキの線(1番ピン)だけ
5mmほど剥き、半田ごてで半田を付けておきます(半田メッキします)。
次に適当な30cm位の線を1本用意し、片側は5mmほど、もう片側は10mmほど剥き、同じく半田メッキします。
5mmの方とコネクタのサイドブレーキ線を半田でつないで延長します。つないだ部分はテープでまいて絶縁
してもいいですが、ダイソーなどで売っている「熱収縮チューブ」を使ってもいいです。私はこれを半田ごてで
あぶって使いました。他のカットした部分もテープなどで絶縁しましょう。
最後に、コネクタをナビに差込み、ナビを元の位置に戻し、4箇所のナビ固定ネジを全て締めます。サイド
ブレーキ線は、向かって左上のネジに共締めしました。
さてテストです。万一チョンボがあるとまずいのでパネルを戻す前に走行テストします。
(パネルをダッシュボードに置いている場合は転げ落ちないよう注意)
ナビを「ダイアグモード」にします。
ナビの「情報」ボタンを押したまま、ウインカーレバーのライトスイッチでスモールランプを点けたり
消したりを3回繰り返します。そうすると、ダイアグモードになります。
その画面のナビ検査メニューの車両信号情報のメニューを選択します。
実際に走行してみます。そうすると、車速パルスの数値がカウントアップされていれば正常です。
(やったー成功だー!!!)
一度エンジンを止めてナビもOFFにし、再度ナビをONにするとダイアグモードは解除されナビは元に戻ります。
もう一度走行し、走行中にTVが映るかどうか確認し、OKならこれで完了です。
車を停止させ、パネル装着の邪魔になるのでシフトレバーをB(Low?)に入れ、安全のためサイドブレーキを
引き、エンジンを止め、パネルをこぶしで叩きながら徐々にはめて完了です。
(尚、走行中の「ナビの一部操作制限の解除」はこの方法ではできません。あくまでTV視聴ができる方法です)
これで、私の車も嫁さんに壊されないで済むと・・・いや、TVに気を取られて**なんて事がないように十分
注意しておきます(自分も)。
今のところ、全く正常に動作しており、ナビも正確ですが、もし何かあれば別途報告いたします。
情報有難うございました。感謝です!
最近ゼラチンで作った偽指で指紋認証システムの7割近くを突破できると言う報告がありました。
私はかねてから人体の特徴を利用したバイオメトリクス認証システムは「安全だ」という宣伝文句に疑問を唱えていたのですが(記事を書いておけば良かったですね)それが実証された形になります。
一般的に指紋認証などのバイオメトリクス認証は従来のカードと暗証番号の組み合わせや、IDとパスワードの組み合わせなどに比べて安全性が高いと言われていて、最近は実用化も増えてきています。
しかし、本当に安全なのでしょうか?
バイオメトリクス認証は指紋や人相、光彩(眼球内の瞳孔上にある模様)、網膜上の血管、声等を主に使いますが、基本的に声以外の全ては画像です。
つまり、大別すると画像か音声と言うことになります。
そして、これが重要なのですが、画像も音声も本人に気付かれること無く、簡単に採取して複製することが可能です。
声はしゃべっているところを録音すればいいだけですし、指紋なら上記の記事にあるように、ターゲットの使用したコップなどから容易に採取できます。
光彩/網膜血管もターゲットにセンサーを覗かせさえすれば採取できます。
センサーを覗かせるのは難しいと思う方もいるでしょうが、よく観光地にあるコイン式の望遠鏡に細工をするとかすれば採取することも出来ますし、全てに共通して使えるのがダミーの認証システムを設置することです。
例えば、よくあるローン専用カードの自動契約機を装うなどです。
そうすれば住所や電話番号、氏名などの個人情報とセットでバイオメトリクス情報を採取出来るわけです。
あとは、上記の記事のような方法で偽物の指や眼球、声を作ってしまえば良いだけです。
こういったことの防止策として、体温や電気抵抗、生体反応(血流や瞳孔反応など)を併せて検証するという方法がありますが、体温はヒーターを内蔵するだけ、電気抵抗も材質や湿り気を調整することでおそらくごまかせます。
生体反応はちょっとやっかいではありますが多少複雑な機械を作れば不可能では無いでしょう。(鼓動程度は一定のリズムで脈打てばいいだけですし、瞳孔反応も瞳孔が開いていく動画の順送り/逆まわしで対処可能です)
大体、あまり複雑な認証では認証システムにコストがかかりますし、正当な利用者を不正利用者と誤解する可能性も高まってしまいます(例えば冬の寒いときなら指先の体温はかなり低くなっているでしょう)から実用上はそれほど高度な認証を行うことは難しいでしょう。
と言うわけで、バイオメトリクス認証システムは余り安全ではありません。
もちろん、単なる磁気カードに比べれば複製も盗難も難しいですし、いちいち持ち歩く必要がないのでカードやIDの代わりとしては優れものです。
ですが、けっして暗証番号やパスワードに代わる存在にはなり得ないのです。
ですから、結局のところかなり先の未来でもATMでお金をおろすときは暗証番号を入力するという行為から逃れることは出来ないでしょうね。